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イベリス
第十六話 ゴールデンウィーク前にその十一

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「安くてもいいのよ」
「あくまでやっていけたら」
「新宿でビル単位の巨大なお店でもね」
「あるわね、実際に」
 咲もそうした店は知っていて応えた。
「あそこには」
「そうでしょ、安くてもね」
「ああしたお店もなのね」
「お客さんが多いなら」
 それならというのだ。
「ビル単位で十階位まであってエレベーターで移動するところでも」
「やっていけるのね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「やっていけるのよ」
「採算が大事ね」
「それが全てよ」
 まさにという言葉だった。
「若しそれが無理なら」
「お店もなの」
「高くしないとね」
「やっていけないのね」
「そう、日本は資本主義でしょ」
「資本主義だとなのね」
「採算が取れないと」
 それならというのだ。
「もうね」
「お店もやっていけない」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「それはもう絶対よ」
「それが嫌なら共産主義ね」
「そう、最悪ね」
 共産主義となってだ、愛は言った。
「北朝鮮よ」
「最悪の最悪ね」
「あくまでそうだけれど」 
 それでもというのだ。
「あそこも一応ね」
「共産主義だから」
「私も言うのよ」
 今そうしているというのだ。
「そうよ」
「そうなのね」
「あんな国にいたくないでしょ」
「何があってもね」 
 これが咲の返事だった。
「一番いたくない国よ」
「私もよ」
 それは愛もだった。
「だから例えに出したのよ」
「最悪だって」
「そうなのよ」
 その様にというのだ。
「最悪のケースとしてね」
「共産主義の中でも」
「違うかも知れないけれど」
「知れないっていうと」
「だから北朝鮮は共産主義国家でもないってね」
「そういえば」
 愛にそう言われてだ、咲も言った。
「あの国世襲だしね」
「国家元首そうでしょ」
「将軍様がね」
「しかも階級あるから」
「共産主義って世襲も階級もないわよね」
「平等が絶対の建前よ」 
 建前ではあるがとだ、愛はさらに話した。
「それで何だかんだで建前って大事なのよ」
「事実は違っていても」
「そう、明確に世襲で階級を公言して定めているなんて」
 そうした国はというのだ。
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