エピローグ
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スト、八卦九々乃』
「おじい、ちゃん」
静かに涙を流し声を詰まらせながら、テレビの前にへたり込む少女。そして画面の中の老人が、言いたいことは言い切ったとばかりに手持ちぶさたになっていたレポーターにマイクを差し出した。
『そら、返すよ。そうそう、ついでに私の護送はいつ再開するのかも警察に問いただしてきてくれないかね、ひひっ。この壊れた護送車だと、空調も効かなくてね』
『え?えっと、はい……あっ!い、以上現場からお送りしました!』
慌てたようにそう締めると、画像が今までこの中継を見ていたのであろうスタジオに移り変わる。こんなものを生放送で流されて、今頃局内はてんやわんやだろう。しかしそれをどう収集つけるのかこのまま見ていたいなどとは誰も言わず、むしろ逆に最初と同じく清明が無言でテレビの電源を落とした。
そして再びしんとなった店内で、がっくりと膝をついていた少女がゆっくりと立ち上がる。気丈に袖で涙をぬぐい、赤く潤んだ瞳で笑顔を浮かべてみせる。
「あの、お姉様!」
「……おう」
「私、これからもデュエルモンスターズ、続けます!ずっとずっとクノスぺ達とデュエルして、もっともっと強くなってみせますから!」
真っすぐに目を見てそう言い切られた糸巻はここでどう返すべきかとほんの少し迷ったが、すぐにそんなこと考えるまでもないかと気持ちを切り替える。幼い少女は少女なりに老人からの別れの言葉を受け止め、そのうえで結論を出したのだ。そこに口を挟む権利は彼女にも、無論ほかの誰にもない。
だから彼女はあえて笑う。明るくふてぶてしく、かつて数多のファンを魅了してきた『赤髪の夜叉』の表情で。
「……そうか。なら、やってみな?もっとも、アタシはまだまだ八卦ちゃんには負けないけどな」
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