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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第五十九話 奇妙な共同生活
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(初めて男の人に撫でられちゃった……)

少女の中で、この出来事は静かでありながらも衝撃的な事であった。

一方のアスカはそれどころではなかった。

(展開が早い!もう高町隊長の出番ッスか!?って、今日はフェイトさんが勝ったって事か?)

フェイトが遭遇した白いバリアジャケットの魔導師。恐らく……いや、間違いなくなのはだろうとアスカは考えた。

『どうするよ、ラピ。結構早く出てきちゃったよ、高町隊長』

『どうと言われましても……このまま大人しく見ている他ないと思いますが』

『大人しくって、あの二人がぶつかるのを黙って見てろって言うのかよ!』

『何かしたくても、今の我々の戦力では、見ている事ぐらいしかできません』

ラピッドガーディアンに言われ、アスカは言葉を詰まらせる。

実際のところ、デバイスの起動ができず、バリアジャケットも展開できない。

確かにこの状態では何もできない。そう理解はする。が、納得はできなかった。

この数日で、フェイトが脅迫概念に近い思いでジュエルシードを探している事は分かっていた。

それこそ、邪魔をする者は排除する勢いだ。

(シャーリーの話では、高町隊長が魔法に目覚めたのは9歳の頃。タイミングはドンピシャだ。このままフェイトさんと戦闘を続ける事になれば……)

アスカの脳裏に、大怪我をしたなのはのビジョンが浮かぶ。

(黙って……見てる…………なんてできるか!)

『……ラピ。とりあえず、近くで見守る事ぐらいはするぞ』

『分かりました。ですが、くれぐれも軽はずみな行動は謹んでください』

どんなに心配しても、どんなに焦っても、結局見守る事しかできない現実を突きつけられる。

何もできない無力感に苛まされるアスカ。

その時、いつかアルトが言ってくれた言葉が蘇った。

”しっかりしろ!アスカ!”

”ここで諦めるの?これで終わりなの?もう何もできないって思っちゃうの?違うでしょ!まだできる事はある!”

「……ですよね、そうだよ」

あの時アルトに元気づけられ、そして、今もまたその言葉にアスカは力をもらった。

「んー?何か言ったかい?」

アスカの独り言が耳に入ったのか、アルフはキッチンをのぞき込む。

「いえ、何でもないです。はい、焼おにぎりできましたよー。香ばしくておいしいですよー」

悟られぬように、アスカはおどけて料理をテーブルに並べた。

(そうさ、まだ何もできていないって事は、まだできる事があるって事さ!)


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