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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第五十九話 奇妙な共同生活
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は、フェイトの様子が普段と違う事に気づいた。

いつもより疲労感が出ているように見える。

「ジュエルシードを見つけたんだけど、その時に戦闘になったんだよ」

バリアジャケットを解除して私服姿になったフェイトは、アスカの寝床であるソファーに腰を下ろした。

「戦闘って、何か厄介な物にでも憑依していたんですか、ジュエルシードは?」

動物の願望を吸収し、暴走でもしたのかとアスカは思ったが……

「違うよ。魔導師がいたんだ」

フェイトのその言葉にアスカは引き吊る。

「ま、魔導師?」

イヤな予感しかしない。

「うん。デバイスはバルディッシュと同系統のインテリジェントデバイス。術式はミッドチルダ式の射撃型。私と同じくらいの女の子で、白いバリアジャケットの……」

ガンッ!

アスカが大きく突っ伏す。勢い余って床に頭突きを喰らわせてしまった。

「ナ、ナナシ!?」「何やってんだい!?」

いきなり崩れ落ちた少年に、フェイトとアルフが引き気味に驚く。

「い、いや……貧血かな?大丈夫ッスから」

フラフラと立ち上がったアスカは台所に向かう。

「と、とにかく食事をしてください。何か簡単な物作りますから」

額を赤くしたアスカだったが、まるで痛みを感じていない。

もっとも恐れていた事が起きてしまったからだ。

フェイトとなのはの邂逅。

状況は動き出してしまったのだ。

「本当に大丈夫?無理してない?」

床に頭突きをするという少年の奇行に、フェイトが近づいて顔を見上げた。

優しい少女なのだろう。その瞳には心配そうな影がある。

「フェイトさんほど無理はしてませんよ。大丈夫です。すぐに用意しますから、座って待っていてください」

ポンポン、とアスカは無意識にフェイトの頭を撫でた。

それはまるで、エリオやキャロにするような、本当に何気ない行動だった。

だが、撫でられたフェイトは違った。

「え?」

突然の事に反応できず、頬を赤らめた。

アスカはそのままキッチンに立って料理を始めたが、フェイトはその背中をポカンと見つめていた。

(……男の人に、頭、撫でられちゃった)

フェイトの記憶にある限り、頭を撫でてくれた人物は二人だけである。

一人は、母親のプレシア・テスタロッサ。遠い記憶のなか、微笑んでいる母親が優しくしてくれた時に撫でてくれたのだ。

もう一人は、プレシアの使い魔でフェイトの教育係だったリニスだ。

彼女は勉強の時は厳しかったが、フェイトにとっては頼れる、そして唯一甘えられる存在だった。魔法が上手くできた時や勉強ができた時、リニスは嬉しそうにフェイトを撫でてくれた。

少年は3人目なのだ。


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