お姫様
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だ二十四……」
「聞いてねえよクソが!」
力において劣る女子中学生が、真司のような成人男性に勝つ方法。いくつかある中で、もっとも恐るべきそれが真司を襲った。
急所に蹴り。
白目を浮かべた真司は、悶えながら倒れる。
さらに、晶の行動は続ける。
「おい! スイムスイム! てめえ、こんぐらいやって見せろ! さっさとこのサーヴァント始末しろよゴラァ!」
スク水少女の襟元を掴み上げる晶。彼女はスイムスイムにぐいっと顔を近づける。
「テメエ、お姫様になりてえんだろ!? だったら敵はちゃんと始末しやがれ!」
「おい、やめろ!」
確かにスイムスイムは、真司を、日菜を襲った。許せる相手ではない。
だがそれでも、これ以上の暴力を見過ごすことはできなかった。戦いを止めることが何よりも優先するべきだと考えている真司は、無理矢理復活してスイムスイムから晶を引き剥がす。
「お前、いい加減にしろ! そんなことで願いを叶えたって、どうしようもないだろ!」
「分かったような口利いてんじゃねえ! このクソが!」
晶が真司に殴りかかる。思わぬ反撃に、真司は思わず後ずさり、距離を置く。
さらに晶は続ける。
「お姫様なんだろ!? テメエ!」
晶はスイムスイムを掴み上げる。首元を掴みながら、顔面を近づけて怒鳴る。
「だったらなあ? 命ぐらい奪える気概を見せやがれ! 甘いんだよ! いいか? お姫様ってのは、命令一つで敵の命を奪えるんだぜ!? そんぐらいの意気込みねえのかよ!?」
「お前いくらなんでも滅茶苦茶だ!」
真司が訴える。
だが、ゆっくりと起き上がったスイムスイムはぼそりと呟いた。
「命を……奪うのが……お姫様……」
それはあまりにも小声で、真司にははっきりと聞き取れない。
だが、それを何度も口にするごとに、スイムスイムの体に力が入っていくように見えた。
そして。
スイムスイムは静かに立ち上がる。やがて、小さな声で言った。
「あなたの言いつけは守ります」
スイムスイムが視界に入れているのは、真司ではなく晶。主に忠義を示すように、頭を下げた。
すると、晶は得意げに鼻を鳴らした。
「ハッ! そうだ。言うことを聞け。てめえがお姫様になるには、それが一番近……」
「いままでお世話になりました」
「へ?」
晶が固まる。次に真司が晶の声を聞いたのは。
「ぐああああああああああああ!」
その悲鳴は、真司の耳に強く突き刺さった。
スイムスイムのナイフが横切ったのは、離れた真司ではなく、すぐそばのマスター、晶。彼女の右頬には、ナイフによって付けられた生々しい跡が、右目にいたるまで走っていた。
「分かった。マスター」
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