第一話 カルネ村(前編)
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のですか?」
「そうだな......足を使って地道に移動するのもいいが......今回は【裏道】が機能するか試してみよう」
「【裏道】?」
エントマは首を傾げながらそう問い掛けた。
「分かりやすく言えば......【トンネル】だ」
ナバナが虚空を切るような動作をした瞬間、空間にジッパー状の空間の裂け目が出現した。
「これは......?」
「俺は【クラック】と呼んでいる。要するに空間の裂け目を可視化したものだ。これを開けた先にもう一つ作ると【クラック】の【トンネル】ができるーーーこれが【裏道】」
二人が空間の裂け目をジャンプして通り抜けると、【クラック】は自然に閉じて消失した。
モモンガは椅子に座り、マジックアイテムの使い方を確認しているようだった。
側にはセバス・チャンの姿もある。
「それは......【遠隔視の鏡】ですか?」
「はい。実はさっきまで半径10Km圏内の存在を確認していたところ、人間を見かけました」
「人間......?」
ナバナが【遠隔視の鏡】を確認した時、甲冑を身に纏った騎士達が村人達を虐殺している場面だった。
村人達を助けに行かないのか?
という疑問がナバナの頭に浮かんだ。
「ナバナさんが確認する前に既に8人殺されてましたよ」
どうやらナバナの考えている事はモモンガには筒抜けだったようだ。
【遠隔視の鏡】を机に戻し、モモンガは椅子に深く座り直した。
「この体になってから、私は人の死を見ても何とも思わなくなりました」
「でもそれは助けない理由になりますか?」
「助けに行く理由も価値もないと判断しています。何故村人を騎士達が殺しているのか理由は気になりますが、私達が動く程の事ではないと考えています」
モモンガの発言は間違っていない。
村人達を守る立場の騎士が村人を虐殺する場面は確かにショッキングだが、この世界に来る以前ほどの忌避感はない。
モモンガやナバナが動く事のデメリットの方が大きいのは少し考えれば分かる事だ。
虫が道端で死んでいても、気にするような人はいない。
騎士達が村人を虐殺している理由はこの後の状況を【遠隔視の鏡】で確認するだけでも把握は出来る。
わざわざ動く理由はどこにもない。
だが......
『その心を忘れんなよ』
お人好しのダンサーの声が頭の中に響く。
「でも......僕は......行かなきゃ」
「動く方がデメリットは多いですよ?」
「分かっています。でも......損得勘定では自分の心まで裏切れない」
ナバナは【クラック】を2つ開いてトンネルを作り、村人達のいる場所までワープした。
「モモンガ様、申し訳ありません。勝手な行動は慎むよう伝えていたのですがーーー」
エントマはすぐ
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