見滝原ドーム
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「殺れ! スイムスイム!」
その声とともに、晶の足元が波打つ。
どうしてコンクリートのスタジオで、と日菜が疑問に思うが刹那、コンクリートが割れた。水のように破裂したそこから、白いスク水の少女が飛び出してきた。
「!」
その少女の顔を見て、日菜は悟った。
無表情の眼差しに読み取れる、晶から引き継いだような殺意。
持前の反射神経がなければ、彼女のナイフは日菜にただでは済まない傷を残していたかもしれない。
「な、何!? 誰……!?」
だが、スイムスイムと呼ばれた少女は答えない。
ただ作業的に、眉一つ動かさずにナイフを構える。
「!」
襲ってくる無邪気な殺意。
避けられない、と日菜が目を瞑ったとき。
「危ない!」
その声の発生源は、窓ガラス。
現れた赤い仮面が、スイムスイムの凶器を取り押さえているところだった。
「だ、誰……?」
口をパクパクとしながら、日菜はそれを見つめている。
赤い仮面は、そのままスイムスイムを振り回し、壁に投げつける。
だが、スイムスイムは壁に接触すると同時に潜ってしまう。
見えなくなった姿を、赤い仮面は警戒し、同時に晶を睨む。
「あの子がマスターか……」
「てめえ、何しやがる!?」
晶が怒鳴りつける。
だが、赤い仮面は動じることもなく、聞き返す。
「俺はライダーだ。君も……聖杯戦争の参加者か」
「ああ? 何だよ、こんなところにもいやがったのか、参加者がよぉ」
晶が口角を吊り上げる。
「んじゃあ、ちょっとだけ教えてやんぜ。アヴェンジャーのマスターだ……日菜の前に、まずはてめえからぶっ潰してやるよぉ!」
晶の声と同時に、壁から何度もスイムスイムが襲ってくる。
赤い仮面は全身から火花を散らしながら、日菜には決して当てまいと身を盾にしてくる。
「大丈夫?」
防御しながら、赤い仮面が日菜を起こす。
丁度スイムスイムの乱撃が収まり、廊下に静寂が戻ったところだ。そのまま彼は、日菜を背にして、スイムスイムが出てくるのを警戒している。
「そこだ!」
やがて赤い仮面は、日菜を抱え、自分が後ろに回る。丁度背後から日菜を狙ったスイムスイムと取っ組み合う形になり、赤い仮面はそのまま肉弾戦に入った。
「逃げて!」
「えっ……!?」
状況が読み込めない。日菜は、茫然としたまま、赤い仮面とスイムスイムの乱闘を見上げていた。
「日菜ちゃん!」
名前を呼ばれて、日菜ははっとする。慌てて駆け出し、その場から逃げ出した。
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