見滝原ドーム
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パステルパレット」という文字を打ち込んだ。すぐに、桁違いの検索結果が表示される。
「あ、どう? あたしたち、なんて言われてる?」
「それも後で見ておくから。ほら、行ってこい」
真司はそう言って日菜の背中を押す。
日菜は元気に真司に手を振り、そのまま入口へ向かうが、そんな日菜に声がかけられた。
「日菜ちー!」
明るい声。見れば、日菜とほとんど同い年くらいの少女が、日菜に駆け寄ってきていた。
「友達か?」
そう思った真司は、何となく別のタブから、「氷川日菜」の名前を検索する。
出てきた画像をスクロールしていくと、やがて今日菜に話しかけている少女の写真が現れた。
「お、出た出た。流石日菜ちゃん。友達も読者モデルか……えっと、名前は……」
蒼井晶。
「ねえ……日菜ちー」
晶の猫なで声が、少し離れた真司にも聞こえてくる。
「これからライブだよね? 頑張って! あきらもぉ、応援してるから」
晶が日菜に抱き着いている。お決まりの「るんってきた!」という日菜は、とても喜んでいるようだ。
だから、だろうか。
それを真司は、気のせいだと思った。
そのまま別れを告げて入口へ日菜が向かった時。
晶の笑顔が、邪悪に見えたのは。
右手の手袋がめくれて、一瞬黒い刺青が見えたのは。
「……」
真司は、無意識にダウンジャケットのポケットに手を入れる。
龍の顔のエンブレムが、指先に触れた。
「おはよう!」
日菜の元気な声が、控室にこだまする。
本来ならば、日菜をはじめとしたパステルパレットのメンバーがいるはずの部屋。
だが、メンバーたちの荷物はあっても、彼女たちの姿は影も形もなかった。
「あれれ? 皆、どこ行ったの? 彩ちゃ〜ん」
だが、日菜の声に答える者はいない。
スマホでメンバーたちに連絡を飛ばした日菜は、鼻歌を歌いながら椅子に座った。
「ふんふ〜ん」
音楽でも聞こうと、イヤホンに手を取った時、ドアにノックがかけられる。
「はい! いまーす」
日菜はそう答える。
するとドアが開き、そこには見知った顔が現れた。
「あ、乙和ちゃん!」
日菜にも似た、薄緑のボブカットの少女。
彼女のことは、日菜もよく知っている。花巻乙和。日菜が所属するパステルパレットと同じ事務所のアイドル兼DJグループ、photon Maidenのメンバーである。
「日菜ちゃーん、ここー?」
乙和は驚いた顔をして日菜を見つめている。
「どうしたの?」
「もうパスパレの皆、ステージに集まってるよ? 千聖ちゃんも、日菜ちゃんがまた遅刻
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