暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第92話:希望を掴む為に
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。
『何を考えている!? 今の響君を戦わせる事が何を意味しているか、分からない君じゃないだろうッ!!』
「百も承知だよ。でもチャンスは今しかない。響ちゃんを助けるチャンスだけじゃない。未来ちゃんを助けるチャンスもだ!」
『しかし……』
尚も渋る弦十郎だったが、颯人の言葉に賛同したのは弦十郎にとって意外な事に了子であった。
『信じてみましょう、弦十郎君』
『了子君、しかし――!』
『信じて良いのね、颯人君?』
了子は颯人を信じていた。彼は本来であれば消える運命にあった了子を、颯人は救ってみせたのだ。
奇跡とも呼べる所の所業を、その結果を引き寄せた颯人を了子は信じていた。
『師匠! お願いします! 私にやらせてください!!』
通信の向こうで響が声を上げた。彼女もまた颯人の起こす奇跡を目の当たりにした1人であり、また同時に誰よりも未来を助けたいと思っている人物だ。このまま座して見ている訳がない。
了子と響、2人が颯人に同意した事で弦十郎の心が揺らぐ。何を隠そう、彼だって颯人の奇跡の恩恵を受けているのだ。颯人を信じる材料は十分揃っていた。
『……信じていいんだな?』
「だ〜れに向って言ってんの? 俺は奇跡の手品師、明星 輝彦の息子だよ? これ位朝飯前に決まってんじゃん!」
自信に満ちた颯人の言葉が決め手となった。弦十郎もまた颯人を信じる事を決め、決断を下した。
『分かった……信じるぞ、颯人君!』
「任せな!」
『何をごちゃごちゃ言ってるのか分かりませんが、計画の邪魔はさせませんよ』
ウェル博士の言葉を合図にするように迫る未来を、颯人が迎え撃つ。
「翼ちゃん! こっちは俺が何とかしとくから、そっちはノイズを頼んだよ!」
「はい!」
「後ついでに、何か苦戦してるっぽい透達の方も気にかけてやってくれ」
「当然……って奏は!?」
「奏がそんな軟な女じゃない事はお互い良く分かってるっしょ? 安心しろって」
とは言え颯人にも不安がないではなかった。先程から妙に奏が静かなのだ。本部から奏の異常が知らされてこない以上、計測できる範囲で問題は起きていないようだが……。
未来が振り下ろした鉄扇を颯人が受け止める。それに合わせたかのように切歌もアームドギアの大鎌を振り下ろすが、颯人は未来を放り投げると切歌のアームドギアを弾き彼女から距離を取った。
――さて、面白くなってきやがったぜ――
***
再び激しさを取り戻した眼下の戦闘を見下ろしながら、ウェル博士が言葉を紡ぐ。
「少女の歌には血が流れている…………。ククク、人のフォニックゲインによって出力を増した神獣鏡の輝き。これをフロンティアにも照射すれば――!」
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