第六百二十四話 茶道をしてみたその七
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「ですから」
「嫌われていたんですね」
「はい、何しろです」
「埋もれたままと思っていたら」
「急に殿様になって」
彦根藩、井伊家という幕府譜代でも筆頭と言ってよくしかも三十五万石という相当な石高の藩の藩主になったのである。
「しかも大老ですから」
「思わぬ事態ですね」
「色々思うところも出て」
「尚更幕府を守ろうと思って」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「あまりにも強権的になって」
「安政の大獄を起こして」
「徹底的に嫌われて」
そうしてというのだ。
「挙句はです」
「あの末路ですね」
「そうでした。私も嫌いですが」
井伊直弼という人物はというのだ。
「ですが」
「それでもですか」
「思うところはです」
それはというのだ。
「あります」
「残念とですか」
「思います」
その感情があることは事実だというのである。
「まことに」
「そうですか」
「何かですね」
スターリングは飲みつつ言った。
「あの人も茶道をしていて」
「しかもかなりのものでした」
「意外ですね」
「そうですか」
「悪名高い独裁者なのに」
「いえ、独裁者でもです」
部員はスターリングにすぐに返した。
「芸術を愛しますね」
「あっ、ヒトラーとか」
「そうです」
この人物が画家志望であったことはあまりにも有名である、それこそ知らぬ者はいない程である。このことはこの時代でも同じなのだ。
「彼もでしたね」
「画家になりたくて」
「独裁者になっても」
それからもというのだ。
「非常にです」
「芸術が好きでしたね」
「美術も音楽も」
どちらもというのだ。
「そうでしたね」
「絵も建築も好きでワーグナーも好きで」
スターリングは音楽のことも話した。
「もうずっとですね」
「共にいました」
そうした芸術と、というのだ。
「生涯に渡って」
「そうでしたね」
「そういえば煬帝も詩人でした」
蝉玉は自国の暴君、独裁者と同じ様に語られる人物のことを思い出した。
「実は」
「そうでしたね」
「それで項羽も」
「敵には容赦のない人でしたね」
部員も言った。
「あの人は」
「物凄く強くて」
その強さは伝説にまでなっている。
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