パスパレライブ
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「こんにちわーっ!」
そんな声が、ラビットハウスに響いた。
「いらっしゃいませ」と可奈美が返せば、そこには氷川日菜の姿があった。
「日菜ちゃん」
「やっほー! 可奈美ちゃん!」
日菜へ手を振って返し、可奈美は入口の日菜へ駆け寄る。
「結構ここ気に入ってくれたよね。あ、お好きな席へどうぞ」
見知った顔であっても、仕事中はマニュアル通りに。席に着いた日菜へ、可奈美は水を差しだした。
「うん! ここ、とっても楽しくてるんって来るからね! お姉ちゃんも誘ったんだけど、断られちゃった」
「そ、そうなんだ……どうせなら、紗夜さんも一緒に来ればいいのにね」
見滝原公園での一件以来、日菜はラビットハウスによく来るようになった。数日おきに来ては、よくよくコーヒーやらジャンクフードやらを食べていく。
「はい。今日はどうしたの?」
「それがね……ん?」
その時、日菜の目が
奥のテーブル席にいる少女。彼女に向け、日菜はダッシュした。
「友奈ちゃああああああん!」
「うわあああああああ!?」
悲鳴を上げる友奈に、日菜は飛びつく。
「ひ、日菜ちゃん!?」
「友奈ちゃん! るるるんって来たあああああああああ!」
どうやら、ボートを共にした仲として、友奈は日菜に気に入られたようだ。日菜は友奈にすりすりと頬ずりしている。
一方、友奈の方は、驚きながらも、日菜を拒否せずになされるがままになっている。
「それで、日菜ちゃんは何にする?」
「うーん……やっぱり、あんまりコーヒーって分からないんだよね。可奈美ちゃんのオススメは?」
「あー……オススメは……」
可奈美はそう言いかけて、目をカウンターに泳がせる。
カウンターでは、チノが静かにコーヒー豆を焙煎している。やがて可奈美と日菜の視線に気付いたチノが、緊張した様子で言った。
「そうですね……日菜さん、初心者なら、まずはうちのブレンドコーヒーをお勧めします」
「じゃあそれ! るんっとするかな!?」
「それでは淹れますね」
チノはそう言って、焙煎機を動かす。そんな彼女の様子を見ながら、可奈美は背後からの日菜の声に振り向く。
「ねえねえ! ハルト君は?」
「ハルトさんは今出前に出てるよ。ハルトさんに用事?」
「ううん。あの人、ちょっとお姉ちゃんのこと気にしていたみたいだから、何かあったのかなって」
「ああ……多分、日菜ちゃんが思っていることじゃないと思うよ」
「本当? まさか、お姉ちゃんを取られたりしないかなって」
「ないない」
可奈美は手を振る。
「でも、少し待っていたら戻ってくると思うよ。待ってる?」
「うーん……どうしようかな……」
日菜が考えていると、ラ
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