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八条学園騒動記
第六百二十四話 茶道をしてみたその一

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                茶道をしてみた
 菅達五人は茶道部の部室である茶室に着いた、そのまさに日本と言うべき侘び寂びを感じさせる木造の家を見てだった。 
 蝉玉は唸って言った。
「何度見てもいいわね」
「趣があるね」
 スターリングは蝉玉に応えた。
「日本ならではという」
「そうよね」
「歌舞伎とか浄瑠璃とか落語と並んで」
「如何にも日本ってね」
「思えるよね」
「道なら剣道や柔道で」
 蝉玉は茶道が『道』とされていることからも述べた。
「それでね」
「そちらでも日本を感じるね」
「本当にね」
「日本に来たとね」
「実感するわ」
「それじゃあ今から」
 彰子が二人に言ってきた。
「こちらに入って」
「それでね」
「お茶を楽しむのね」
「茶道を」
「日本のお茶を」
「そうなるわ。じゃあ入りましょう」 
 彰子が言ってだった。
 五人は茶室に入った、するとすぐに席を用意されたが。
 すぐにだ、五人の前に座っている桃色の着物を着たアフリカ系で黒髪と黒い目の小柄な三年生と思われる女子学生が言ってきた。
「では今から煎れますので」
「だからですね」
「暫しお待ちを」
 こう言うのだった。
「そうして下さい」
「それでは」
「ただ」
 菅にこう返した。
「正座ですが」
「それはですか」
「くつろいで下さい」
 こだわる必要はないというのだ。
「茶道は堅苦しいことはです」
「ないですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「特にです」
「正座をしなくていいですか」
「楽に座って下さい」
「それでは」
「正座は慣れないと辛いです」
 足が痺れてしまうからである。
「ですから」
「しなくていいですか」
「こだわる必要はありません、茶道は楽しむもので」
「苦しい思いをしないでいいですか」
「足の痺れでお茶の味がわからず」
 そしてというのだ。
「歴史や作法が頭に入らないのでは」
「意味がないですか」
「全く」
 こう言うのだった。
「ですから」
「それで、ですか」
「こだわってはいけません、それでは」
「自由に座って」
「お待ち下さい、そして」
 菅達にさらに話した。
「作法もご覧になって下さい」
「わかりました」
 七海が応えた。
「それで飲む時も」
「お話させてもらいます」
 飲む作法もというのだ。
「是非」
「それじゃあ」
 五人共足を崩した、見ればアメリカ人のスターリングと中国人の蝉玉はそれぞれ胡座をかいて女の子座りになった、だが。
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