第十五話 慣れてきてその七
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「あの人は貴女にはそうした誘いはかけないですね」
「そうですか」
「私のことはご存知なので」
だからだというのだ。
「それはです」
「ないですか」
「おそらく」
そうだというのだ。
「ですから」
「安心していいですか」
「そうですか」
「はい、では道玄坂に行かれれば」
この店のある109のビルと目と鼻の先である、それこそ歩いてすぐに行くことが出来る場所である。
「そちらのお店にもです」
「行ってきます」
「そうされて下さい」
「そうしてみます」
こう答えてだ、そしてだった。
咲は占いの場に向かった速水を見送ってこの日の仕事に励んだ、そうしてそれが終わると家に帰ったが。
家に帰るとテレビでは魔女狩りについての番組が放送されていた、咲はそれを観て母に対して言った。
「お母さん、魔法使いとか魔女っているのかしら」
「いるかもね」
否定しない返事だった。
「若しかしたら」
「いないって言わないの」
「それはね」
母は娘にすぐに答えた。
「実際魔術の本とか残ってるでしょ」
「欧州とかね」
「陰陽師もいたでしょ」
「日本にね」
「陰陽師も魔術師って言ったらいいわ」
咲にこうも言った。
「安倍晴明さんとかね」
「あの人漫画や小説でも出て来るけれど」
「色々お話があるから」
安倍晴明という人物にはだ、言うならば日本の歴史上最大の魔術師であると母は娘に話した。
「そうしたお話を聞いたら全部嘘とも思えないし」
「色々お話あるわね」
安倍晴明についてはとだ、咲も答えた。
「何か」
「他にも役小角さんいるし」
「その人も有名ね」
「そもそも東京がよ」
自分達が今住んでいるこの街もというのだ。
「結界だらけよ」
「ええと、漫画や小説でもアニメでも」
「言われてるでしょ」
「高層ビルが多いのも五つのお不動さんも」
不動尊を祀った神社もというのだ。
「お寺も。それで東京タワーや山手線も」
「言われてるでしょ」
「あと東京の場所も」
「四神がっていうでしょ」
「相応とかね」
「お母さんも東京で生まれ育ってるからね」
それ故にというのだ。
「色々聞いてるのよ」
「東京が結界に囲まれた街だって」
「北東には日光東照宮あるし」
「そうよね」
「丑寅の方角にね」
鬼が出入りする方角である、京都もこのことが警戒されていてそれでその方角に比叡山が置かれているのだ。
「あるわね」
「結界も魔術ね」
「そのものよ」
「そうでしょ、だからお母さんもね」
「魔術師も否定しないのね」
「そうよ、東京は災害の塊みたいな街でもあるし」
「地震多いし台風も来て」
それにだ、東京という街は。
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