第6節「装者達の黄昏」
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助けたい。ただ、それだけです」
「そうか……」
飛鳥は、3人の言葉を受けて納得したのか、少し表情を柔らかくした。
「僕は、すごい力なんて持った事ないから分からないんだけど……でも、君達にとって、それがすごく大切な事だってのは伝わったよ」
「兄さん……」
兄の言葉を、少し険しい顔で聞いていた流星は、兄の肩に腕を回すと、3人には聞こえないように囁いた。
「意外。兄さんの事だから、てっきり『装者に戻らなくても恩返しはできる』とかお説教垂れるって思ってたよ」
「多分、暁達にとっては、力を持つ者の責任みたいなものなんだ。外野の僕達が頭ごなしに否定するなんて、偽善者みたいな物言いはしちゃいけない」
「そんな事してたら、僕は兄さんでもぶん殴ってたよ」
「お前にそこまで想われてる月読は、幸せ者だな」
「そ、そうかな……そうだといいな……」
兄弟は互いの顔を見合わせて、お互いの脇腹を小突き合った。
ちょうど信号が青に変わり、歩行者達が横断歩道を渡り始める。
自分達も渡ろうと、歩みを進める飛鳥と流星。だが、切歌ら3人が立ち止まったままな事に気が付き、振り返る。
「暁……?」
「調ちゃん、セレナちゃん……?」
3人は立ち止まったまま、ここでは無いどこかを見つめている。
「……なんとか、力になれないんでしょうか」
「何とか、力になりたいね……」
「力は、間違いなくここにあるんデスけどね……」
「でも、それだけじゃなにも変えられなかったのが、昨日までのわたしたち……」
切歌と調は、首に提げたペンダントを握りしめ、セレナもまた、自分の胸に手を当てている。
飛鳥も流星も、彼女らにかける言葉を持たない。
力を持たない彼らに出来るのは、ただ見守ることだけなのだから。
『都内に発生した高層マンション、及び周辺火災の続報です』
その時、街頭モニターの臨時ニュースが、火災現場の様子を映し出した。
切歌、調、セレナに釣られ、飛鳥と流星もモニターを見上げる。
『混乱が続く現場では不審な人影の目撃情報が相次ぎ、テロの可能性も指摘されています』
「「「ッ!?」」」
ニュースキャスターの隣に映る、火災現場からの映像。
そこには爆発し、墜落するヘリコプターが映り込んでいた。
「今の爆発したヘリコプター、『S.O.N.G.』のデスッ!」
「何か、別の事件が起きているのかも……ッ!」
「ちょっと行ってくるデスッ!」
「えっ!?暁さん、月読さん!?」
「セレナは先に帰っててくださいデスッ!」
セレナを置いて、切歌と調は火災現場のある方角へと走っていく。
「待て!危険すぎる!まっすぐ帰るようにいわれただろう!?」
「兄さん、置いてくよ」
「流星ッ!?お前も行
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