第二章
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「戦も恐ろしいが」
「祟りも恐ろしいですね」
「本朝は古来から祟りに悩まされております」
「何かと」
「先の幕府が開かれた時の戦も祟りから起こった」
太平記に書かれていることを述べた。
「そうであるな」
「恐ろしいことに」
「そう言われていますな」
「そして都もです」
「祟りを恐れて築かれ」
「長きに渡って祟りを恐れてきました」
「大宰府も然り」
九州のこの地もというのだ。
「そうであるな」
「はい、確かに」
「それを見ますと」
「祟りは国を乱します」
「戦さえ引き起こします」
「そして多くの災いを起こす、どうもこの地は四神相応の地であるが」
そうした意味で将軍が座す場に相応しいがというのだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「何かとあやしきものが多い」
「和上はそのことを感じておられますな」
「左様、これは戦国のことだけではあるまい」
それに限らないというのだ。
「その他にもな」
「多くのことがあり」
「それで、ですか」
「あやしきものが多い」
「左様ですか」
「霊や妖怪変化でも性がよければよい」
それは構わないというのだ。
「だが怨霊やあの玉藻前の様な」
「祟りを為すならば」
「鎮めねばならぬ」
「そういうことですな」
「だからこそ江戸全体を多くの神仏の結界で護る様にし」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「さらにですな」
「江戸城は特にですな」
「護りますな」
「言うまでもなく江戸の中心であり上様がおられる場所」
江戸城こそはというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「特に結界を張り」
「そして祟りから護り」
「今中にあるものは鎮める」
「そうしますな」
「それ故に今から行くのじゃ」
井戸にというのだ。
「よいな、ただな」
「ただ?」
「ただといいますと」
「鎮めるのは拙僧が行う」
そうするとだ、天海は弟子達に話した。
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