第三章
[8]前話
「これ以上なくだ」
「そうですね、ですが私がいますので」
「だからか」
「ご安心を」
「済まない」
王は俯いて言ってだった。
王妃のエリザベッタ=ファルネーゼ女性としては逞しい顔立ちの彼女の補佐を受けて暮らしていった。そのうえで王としての責務を全うしたが。
後になってあるスペインの医学部の教授が学生達にこの王のことを話した。
「躁鬱でしたね、特に鬱がです」
「酷かったのですね」
「フェリペ五世は」
「そうだったのですね」
「はい、元々その気がありまして」
そしてというのだ。
「スペイン王となられて」
「尚更ですね」
「躁鬱の気特に鬱のそれが強くなられ」
「そうしてですね」
「あの様になられました、鬱はです」
この病はというのだ。
「この方を観てもわかる通りにです」
「深刻ですね」
「そして中々治らないですね」
「悪化することもありますね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうなります、陛下には王妃がおられましたので」
「それで、ですね」
「まだですね」
「癒されていましたが」
「それでもですね」
「医師で躁鬱病のことをわかっている人が少なかったので」
その為にというのだ。
「あの様になられました、そして今も」
「はい、躁鬱病は深刻ですね」
「非常にそうですね」
「だからですね」
「そのことを頭に入れて」
「僕達も医師として考えていかねばならないですね」
「そうです、最悪自殺する人もいますから」
だからだというのだ。
「宜しいですね」
「はい、学んでいきます」
「そうしてこの病気の人達を救っていきます」
「治していきます」
学生達は教授に応えた、そうして王のことを考えていった。躁鬱病により苦しんだこの王のことを。
暗鬱な王 完
2021・3・15
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