第二章
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「もうスペイン王はブルボン家となった」
「ハプスブルク家からそうなった」
「跡継ぎの方もおられる」
「だからそれは揺るがない」
「ならスペインとの外交はこのまま続けよう」
「陛下はどうなられるかわからないが」
「それでもだ」
スペイン王の座がブルボン家のもので揺るぎそうにないのなら彼等もこれといって動くことはないというのだ、これが他の家に移るのなら兎も角だ。
それで彼等はそのまま外交を続けていった、そしてそのうえで。
王を見た、王は相変わらず塞ぎ込み。
暗鬱な顔で塞ぎ込み昼は寝て夜は起き続けた、やがて王妃以外の誰もがだった。
王についてこう話した。
「ついていけないな」
「全くだ」
「服を着替えられず顔も洗われない」
「絶えずお湯を飲まれ煙草を吸われ食されている」
「昼はお休みで夜に動かれる」
「窓はいつも開けっぱなしだ」
「おかしいにも程がある」
こう言うのだった、そして。
もう王は駄目だと見放した、だがそれでも。
王はその生活を続けた、それで言うのだった。
「私は何もかもがだ」
「お嫌なのですね」
「どうしようもなく辛い」
王妃に暗い顔で話した。
「非常にな」
「そうですね」
「日差しも閉められた窓もな」
「そしてですね」
「何か常に口にしていないとな」
湯でも煙草でもというのだ。
「辛い」
「左様ですね」
「頭の中はいつも動いている」
暗鬱なその中でもというのだ。
「そして国政は考えられる、だが」
「それでもですね」
「何もかもが嫌だ」
全く以てというのだ。
「本当に辛い」
「わかっています」
王妃は王に静かな声で答えた。
「陛下のお傍にはです」
「妃がだな」
「いつもいますので」
それでというのだ。
「ご安心を」
「済まない、兎に角辛い」
どうしてもとだ、王はまた言った。
「この辛さ、重苦しいこれが消えないことがな」
「お辛いですね」
「フランスにいた頃からこの苦しさはあった」
祖国でもというのだ。
「しかしこの国に来てな」
「尚更ですね」
「そうなった」
異国これまでとは全く違う環境の中に入ってというのだ。
「そして王となってな」
「その責務にですね」
「尚更辛くなってだ」
それでというのだ。
「今はだ」
「この様にですね」
「辛い」
こう言うのだった。
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