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水の国の王は転生者
第七十二話 カトレアの決断
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、マザリーニに救いの手が差し伸べられる。

「アンリエッタ姫殿下、カトレア王太子妃殿下のおなぁ〜りぉ〜!」

 家臣の一人がアンリエッタとカトレアの入室を告げると、王宮と新宮殿の両陣営はケンカを止め一斉に起立した。

「王太子妃殿下、アンリエッタ姫殿下も、この様な大切な時にご足労をお掛けして申し訳ございません」

「我ら家臣一同、この難局を乗り切る為に知恵を出し合っているのですが、一部にこの状況を利用しようとする者が居ります」

「それは我々の事を言っているのか!?」

「新参者が、分別を弁えないからだ」

「何だと!」

 この発言が呼び水をなって、会議室は再び怒号が飛び交うかと思われた……だが。

「お黙りなさい」

『……!』

 会議室は、カトレアの静かなる一喝で再び静寂が戻った。

「こんな大事な時に内輪揉めなどと……恥を知りなさい」

 決して声を荒げる事のないカトレアの叱責に、両陣営の人々は、うな垂れ反論しようとはしなかった。

 カトレアから発する有無を言わせぬ雰囲気に、百戦錬磨の男達は完全にの飲み込まれてしまった。

 マザリーニは、トリステインの内部崩壊を予想していたが、その予想はカトレアの登場で回避されたと思った。

(烈風カリンの血は健在だな、これで安心して帰国できる)

 安心したマザリーニは、そっと会議室を出ようとした。

「マザリーニ殿」

「は!? 何の御用でございましょうか王太子妃殿下」

 突然、カトレアに呼ばれたマザリーニは、驚いて聞き返した。

「マクシミリアンさまがご帰国されるまでの間、僭越ながらわたしがトリステインを回さなければなりません。ですがわたしは政治にことは分かりません。ですからマザリーニ殿に補佐役をお願いしたいのですが、受けて貰えますでしょうか?」

「私よりも他に適任者が居ると思われますが……」

「わたしが王宮側と新宮殿側のどちらかの者を採用すれば、選ばれなかった者の陣営が不満に思うでしょう、幸いマザリーニ殿の立ち位置は中立です。ですから、貴方を登用したいのです」

「……なるほど」

 マザリーニは少し考え、すぐさま答えを出した。

「非才の身ではございますが、承知いたしました」

 マザリーニは起立し、カトレアへ深々と頭を下げた。
 この瞬間、マザリーニは帰国を諦め、エドゥアール王が愛し自分自身も愛するトリステインに骨を埋める事を決めた。

「承知はいたしましたが、お聞かせ願いたき事がございます。王妃殿下がは如何なされたのでございましょうか?」

「その事でしたらお答えします。本来ならば、マリアンヌ王妃殿下が政治を引き継ぐことになるのですが、残念ながら、王妃殿下はそれを拒否されまし
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