第七十二話 カトレアの決断
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涙で濡れた王妃マリアンヌとアンリエッタが、冷たくなったエドゥアール王に縋り付くが何の反応もなかった。
「王妃様、姫様、王太子妃殿下がお見えでございます」
典医がカトレアがやって来た事を告げると、アンリエッタのみが応えカトレアの胸に飛び込んだ。
「うわぁぁぁん! 義姉様、お父様がぁぁぁ〜〜!」
「アンリエッタ……」
カトレアは泣くアンリエッタを抱きしめ、典医にエドゥアール王の死の詳細を聞いた。
「典医殿、国王陛下はどの様な病気で御隠れになられたのですか?」
「王太子妃殿下、それがその……私どもも、様々な手を尽くしたですが、『急死』としか言いようが無く……」
カトレアの問いに典医の男は、しどろもどろに応えた。
「別に罰しようとはしません。典医殿は最善を尽くしました」
「ははっ、ありがたきお言葉にございます!」
典医は深々と頭を下げた。
カトレアはベッドに寝かされたエドゥアール王と対面した。
遺体の周りには香が巻かれていて、エドゥアール王の死臭を覆い隠していた。
「どうしてこの様な事に……ううう」
「お義母様、心中お察しいたします」
カトレアは、泣くマリアンヌにそっと近づき声を掛けるが、慰めの言葉しか見つからない。だが、何時までもメソメソしている訳にはいかない。
「お義母様。大至急、マクシミリアンさまをお呼びしましょう」
「ううう……どうして、どうして」
この状況を打開する為に、マクシミリアンの帰国を促すが、マリアンヌは聞く耳を持たなかった。
「お義母様、しっかりしてください!」
カトレアがマリアンヌの肩に触れようとすると、マリアンヌはカトレアの手をはねつけ、激しく拒絶した。
「嫌、嫌よ。カトレアさん、全て貴女に任せますから、どうかお願い、私とエドワード様の二人だけにして!」
「そういう訳には参りません。国王陛下がこのような状況になったのなら、せめてマクシミリアンさまが帰国されるまで、お義母様が先頭に立って政治を動かして頂かないと……」
「政治なんて真っ平よ! 私はやりたくないの!!」
「お義母様、こういう時こそ、私達が先頭に立って皆の手本になるべきです」
「王族が必要ならカトレアさんが国を回せば良いじゃない。何ならアンリエッタにやらせれば良いわ!」
「アンリエッタはまだ10歳です。まだ幼いアンリエッタに重荷を背負わせる積りですか?」
「構わないわ! お願いだからエドワード様と一緒にいさせて!」
この瞬間、マリアンヌは王妃として母としてのの責任も放棄した。
「お母様……!」
「何てことを……!」
その言葉に一番ショックを受けたのは、当然ながらアンリエ
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