第四章
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「あの人のことを」
「お願いします」
しのぶは真顔で即答した。
「是非共」
「それでは」
「はい、お願いします」
こうしてしのぶも新堂の話を聞いた、そうしてだった。
しのぶは彼の話を聞いた日も店に行った、この日から彼女は自分から新堂に話し掛ける様になり新堂も応えた、そうしていき。
そしてだ、二人でだった。
毎日話して楽しい時間を過ごす様になり遂にだった。
新堂は店に来たしのぶに彼女が注文したカクテルと共に花束を出して言った。
「よければ僕と交際して下さい」
「私でいいですか?」
「貴女でないと駄目です」
真剣な顔での言葉だった。
「他の誰でも」
「私もです」
これがしのぶの返事だった。
「それは」
「それでは」
「私でよければ」
こう言うのだった。
「お願いします」
「それでは」
二人で視線を交えさせ言葉もそうした、こうしてだった。
二人は交際をはじめ同居しやがては結婚した、式はそれぞれの身内だけで行い仕事も続けた。だがここで。
店の常連の客達は新堂に対して言った。
「いや、まさかね」
「君が結婚するとかね」
「誰かを好きになって」
「そうなるなんてね」
「僕もそうなるとは思いませんでした」
新堂自身こう答えた、今もバーのカウンターの中でカクテルを作っている。
「自分が誰かを好きになって」
「付き合ってな」
「それで結婚するとか」
「とてもか」
「もう一生です」
それこそというのだ。
「そういうことはないってです」
「思っていたんだね」
「そうだよね」
「比呂君にしても」
「ええ、ですが僕でもですね」
客達に笑って話した。
「誰かを好きになるんですね、しのぶさんも言ってます」
「奥さんもだね」
「凄く幸せだって聞いてるけれど」
「あの人もだね」
「はい、誰でもです」
それこそというのだ。
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