暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第91話:得体の知れない魔法使い
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「悪い、遅くなった! 大丈夫か透!」
「……」
「おっさんから通信受けてな。流石に透がきつそうだったからやって来たって訳だ」
本部で透の戦いをモニターしていた弦十郎は、このままでは遅かれ早かれ透が持たないと判断し彼に増援としてクリスを向かわせたのだ。
未来は現状颯人が足止めしてくれているし、調は見た所戦闘不能。切歌も颯人との戦闘で消耗している上に翼が見張ってくれているので、あちらは余裕があると判断した事も大きい。
クリスが傍に来てくれた事で、透の心に余裕が生まれた。彼女が傍で歌ってくれているだけで、透は力が湧いてくるような気がした。以前颯人が言っていた、「奏の歌があれば何時でも全開」と言う言葉の意味が今はよく分かる。
透も、クリスの歌を聴けば疲れも何もかも吹き飛ぶのだ。
透とクリスが手を取り合い、未だ無数に蔓延るメイジに立ち向かう。
「行くぞ、透!」
一斉に攻撃してくるメイジ達。それに対しクリスは両手にボウガンを、透はカリヴァイオリンを構えて迎え撃つ。
基本的にはクリスが攻撃で透が防御を受け持ち、迫るメイジをクリスのアームドギアが撃ち抜き彼女の死角からの攻撃を透が防ぐ。
次々と立ち位置を変えて戦う2人の動きに、メイジ達は翻弄されその数を次々と減らしていった。
***
透とクリスの奮闘は当然上空のエアキャリアに居るグレムリンとメデューサの目にも入っていた。
次々とメイジを倒していく2人を、メデューサは忌々し気に、グレムリンは楽し気に眺めている。
「たった2人を相手に、何をやっている!?」
「ンフフフフフ! いいじゃない、面白くなってきた」
吐き捨てるメデューサに対し、グレムリンはにやにやと笑うと踵を返した。突然エアキャリアから出ようとする彼に、気付いたメデューサが声を掛けた。
「待て、何処へ行く?」
「ちょ〜っと会いたい人が居るから。ついでにあの2人にも挨拶してくるよ」
それだけ告げると、グレムリンはエアキャリアから出て行った。
その彼の後姿に、メデューサは小さく鼻を鳴らすのだった。
***
場面は戻って透とクリスは、その後も順調にメイジを倒していった。透の活躍により米兵が退避させられていた事もあり、更にはクリスが彼と常に行動を共にした事により米兵が透への攻撃を止めてくれた事も大きかった。お陰で邪魔される事なく、目に見える範囲でメイジは全て倒す事が出来た。
「ふぅ……これで全部か?」
見た所立っているメイジは見当たらない。透はクリスの言葉に頷いて答えた。
「よし、それじゃペテン師達の所に――――」
こちらが片付いたから、颯人達の元へと戻ろうとするクリス。透も
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