第十五話 慣れてきてその五
[8]前話 [2]次話
「努力して」
「成られますか」
「それを目指しています、ただある人は。この人は魔術師ですが」
「魔術師ですか」
「そうです」
この職業にあるというのだ。
「その方は」
「あの、魔術師って」
「実在しませんか」
「小説とか漫画のお話ですよね」
創作の世界それもファンタジーのそれだというのだ、咲にとっては事実魔術師は実際にはないものである。
「そうした人達は」
「いえ、これがです」
「実在しますか」
「はい」
速水は確かな声で答えた。
「そうなのです」
「そうですか」
「この東京、渋谷にもおられます」
「ここにもですか」
「左様です」
咲に微笑んで答えた。
「その方は」
「あの、道玄坂に」
咲は渋谷と聞いてまさかと思いつつ速水に問うた。
「魔法の品を売っているお店がありますね」
「アクセサリーやお守りをですね」
「あのお店の方ですか」
「あのお店の店長さんです」
「凄い美人さんっていう」
「まさにその方です」
速水はその白い頬にほんの僅かであるが朱を入れて述べた。
「あの方は魔術師なのです」
「そうですか」
「その界隈では有名な方です」
「オカルトの」
「そう言われている世界では」
咲にその白い中に微かに朱が入った顔で答えた。
「かなりです」
「そうした人ですか」
「オカルトの世界では魔術師も存在しています」
「それで魔術もですか」
「そこはご想像にお任せします」
こう返してはっきりとは話さなかった。
「その様に」
「あそこのお店は」
「インチキではありません」
はっきりとは話さないが答えは述べた。
「間違っても」
「そうなのですね」
「ですから」
それでというのだ。
「効果はあります」
「そうですか」
「はい、そして」
それでというのだ。
「あそこで買われるなら」
「いいんですね」
「確かな加護があるので」
本物の魔術によるそれがあるというのだ。
「大丈夫です、ですが多くのそうしたグッズは実はインチキではないのです」
「ちゃんと御利益があるんですね」
「お寺のお経も神社のお守りもです」
そうしたものもというのだ。
「僅かではあっても」
「御利益があるんですね」
「そうです、文字自体に力がありますので」
それ故にというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ