第四章
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「あそこの近くのマンションだ」
「ってあんたマンション暮らしかよ」
「左様、難波にも自転車で行けるし快適だぞ」
「所帯じみてるな」
「ははは、修行もしながら楽しく暮らしておる」
烏天狗は潤に笑って話した。
「ではこれからスーパーで晩飯を買ってな」
「帰るんだな」
「そうする、また機会があれば会おう」
明るく挨拶をしてそうしてだった。
天狗は飛び去った、その後で。
アリサもノンナもにこにことしてこう言った。
「妖怪いてよかったね」
「そうよね」
「いないって言われて残念だったけれど」
「いてよかったわね」
「それも日本もあちこちにいるなんて」
「素敵よね」
「素敵か?何か随分人間臭い天狗だったけれどな」
潤は笑って話す二人に怪訝な顔で応えた、そして烏天狗が飛び去った新今宮駅の方を見てそのうえで言うのだった。
「新今宮に住んでるとかな」
「近くに通天閣あるのよね」
「新今宮はそうよね」
「ああ、串カツとかたこ焼きとか食ってそうだな」
あの天狗はというのだ。
「全く、変な妖怪だな」
「だって街で暮らしてるから」
「だからね」
「人間臭くてもいいでしょ」
「そうした妖怪でも」
「そうか?まあ人を襲わないみたいだしいいか」
ここで潤はこうも考えた。
「それなら、それで案内終わったしな」
「それでよね」
「もうよね」
「ああ、帰るな」
二人にこうも言った。
「そうするな」
「ええ、じゃあね」
「これで帰りましょう」
「私達は神戸に帰るけれど」
「潤はここでよね」
「駅まで送るな」
そうするとだ、潤は自ら言った。
「そうするな」
「ええ、じゃあね」
「お願いするわね」
二人はここでも笑顔で応えた、そうしてだった。
潤は二人を駅まで送りそれから自宅に帰った。そして次の日登校してすぐに二人に挨拶をした。すると二人も笑顔で挨拶を返して今度は何処に行こうかと言ってきた。
大阪の烏天狗 完
2021・7・30
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