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大阪の烏天狗
第一章

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               大阪の烏天狗
 大阪は神社が多いが寺も多い、それでだ。
 興味があって巡るとなるとその寺も多い、しかし。
「一番はなの」
「このお寺なのね」
「やっぱりな」
 小林潤軽い感じの外見で茶色の髪の毛をぎざぎざな感じにしている一七三位の背の痩せた少年は二人の少女に話した。
「大阪のお寺で一番ってな」
「ここなの」
「四天王寺なの」
「そうなるな」
 アリサ=クロムウェルとノンナ=ホッターに話した。アリサは長い銀髪を後ろで束ねている小柄で青い目で雪の様な肌の少女だ。ノンナは長い金髪を左右で分けて縛っているやや褐色の肌の背の高い少女で胸は大きい。彼女も目の色は蒼だ。二人はそれぞれスコットランド、ウエールズから神戸にある八条学園高等部に留学してきており今は同じクラスの潤に大阪のお寺を案内してくれと言われてここにいるのだ。
「やっぱりな」
「あれよね」
 アリサがここで言った。
「このお寺は日本で最初の」
「お寺でな」
「聖徳太子さんが建てたのね」
「そうなんだよ」
 潤はアリサに寺の塔を見つつ話した。
「そうした由緒あるな」
「お寺よね」
「だから大阪でな」
 この街でというのだ。
「お寺っていうとな」
「このお寺なのね」
「だからな、俺大阪生まれで大阪育ちでな」
「今も大阪よね、潤は」
 ノンナも言ってきた。
「そうよね」
「上本町な、家は」
「そこなのね」
「大阪じゃ結構有名だよ」
 上本町という場所はというのだ。
「そこに住んでてな、家もお寺だし」
「お寺に詳しくて」
「それで大阪のお寺案内しろって言われたら」
「もうここしかないのね」
「そう思ってな」
「私達を案内してくれたのね」
「本願寺もあるけれどな」
 西本願寺である。
「歴史はこっちの方がずっと古いからだよ」
「案内してくれたのね」
「ああ、しかし二人共あれだろ」
 潤はアリサとノンナに問うた。
「キリスト教だろ、宗教」
「ええ、そうよ」
「私達はそうよ」
 二人もその通りだと答えた。
「カトリックよ、私」
「私もよ」
「イギリスだけれどね」
「国教会じゃなくてね」
「カトリックでもプロテスタントでもキリスト教だな」
 潤は日本人の感覚で応えた。
「そうだな」
「結構大事よ、この違い」
「欧州だとね」
「日本じゃ何でもなくても」
「欧州だとそれこそ戦争にもなってるわよ」
「それは俺も知ってるけれどな」
 歴史の授業で習っているからである。
「それでもな」
「実感ないのね」
「そうなのね」
「ああ、それでキリスト教でもか」 
 潤は二人にあらためて問うた。
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