第二章
[8]前話
「上の娘だってな」
「あっさりですよね」
「育児放棄だな」
「そうするの決まってますね」
「あいつ等にとって犬も赤ちゃんも同じなんだな」
同僚は腕をラーメンを食べながら苦り切った顔で言った、ラーメンは美味いが今考えていることはまずいことだった。
「おもちゃなんだな」
「ですね、おもちゃですから」
「次のおもちゃが手に入ったらな」
「それまでのおもちゃは見向きもしなくなるんですね」
「それで邪魔になったらな」
「ポイ、ですね」
「ふわりちゃんはあんた達が助けたけどな」
彼は洋介と彼の家族のことを話した。
「しかしな」
「今度はですね」
「赤ちゃんはちょっと目を離すと死ぬだろ」
「だからですね」
「あんな馬鹿共だから絶対にそうするしな」
「だからですね」
「ああ、考えるな」
こう洋介に話した。
「俺達で」
「それで、ですか」
「あの連中に引導渡すか、その時はすぐに知らせるな」
「お願いします」
「そういうことでな」
彼はラーメンを食べつつ洋介に話した、そして。
会社に帰るとふわりの元飼い主ははしゃいで二人目の娘のことを話していた、だが周りは笑って聞いていても。
乾いた笑いで目は全く笑っていなかった、そして誰もがはしゃぐ彼の前を後にするとそのうえで言った。
「もう上の娘のこと言ってないな」
「前までその話ばかりだったのにな」
「完全にふわりちゃんの時と一緒だな」
「こりゃ絶対に上の娘も同じ運命辿るわ」
「自分達の娘って言ってたのにそうしたんだ」
「娘じゃなくて本当はおもちゃだろ」
「おもちゃで遊んでるだけでしょ」
娘を可愛がって育てているのではなくというのだ。
「それだけでしょ」
「そうだよな」
「あいつ等にとって犬も人間も同じだ」
「おもちゃなんだ」
「おもちゃで遊んでいるだけ」
「自分達以外はそうなんだ」
「そんな連中なんだな」
自分達では自覚していないがというのだ。
こう話して冷めた目で見ていた、彼等は気付いていないが周りはもうわかっていた。彼等のこともこれからどうなるかも。
おもちゃにしか興味がない 完
2021・7・29
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