第一章
[2]次話
おもちゃにしか興味がない
かつてふわりを飼っていた百田家の夫婦は最近上機嫌だった、それで夫は勤めている会社で妻は外でしきりに言っていた。
「二人目出来たんですよ」
「もう嬉しくて嬉しくて」
「上の娘はお姉ちゃんになります」
「女の子らしいから妹が出来ますね」
そんなことを言っていた、だが。
彼等を知る誰もが彼等が以前ふわりをどうしたか知っていた、それで表面上はよかったと言いつつもだった。
「どうせ今度は上の娘がだろ」
「ふわりと同じ運命辿るんだろ」
「あれだけ可愛がったのにあっさり保健所だ」
「そんなこと平気でする連中だからな」
「もういらないとか言ってたし」
「もう未来は見えてるさ」
「とっくにな」
こう陰で言っていた、そして。
夫の同僚は行きつけのラーメン屋のカウンターの席でラーメンを食べながら店員でふわりの今の飼い主である国崎洋介にこのことを話した。
「もう会社の中で口を開くとな」
「二人目の娘の話ですか」
「そればかりだよ、皆聞いてるふりをしているだけなのにな」
それでもというのだ。
「もうな」
「そうですか」
「ああ、どうせな」
「ですね、二人目が産まれたら」
「上の娘はな」
「ほったらかしですね」
洋介も言った。
「そうなりますね」
「ふわりちゃんもそうだったしな」
「ええ、あの娘を産まれて家に連れて帰ったら」
「その日からだろ」
「一日中ケージに入れて」
このことを話した。
「それで、ですよ」
「無視してだよな」
「散歩もブラッシングもしなくなって」
「ご飯もトイレも碌にだったな」
「一日一回位で」
「完全に飼育放棄だな」
「それで最後は鳴き声が五月蠅いで」
それでというのだ。
「もういらないで」
「保健所にポイだろ」
「それで親戚の集まりでも平気で言うんですからね」
「会社でもだよ」
「近所でもですね」
「そんなのだとな」
それこそというのだ。
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