第一章
[2]次話
愛情は種族を越えて
オランダの生物学者エマニエル=オラニエは一七五あるすらりとした長身でブロンドの髪を腰まで伸ばし緑がかった青い目を持っている。鼻は高く色白だ。大学で教授を務め様々な論文を発表してきている。
その彼女が今一匹のトラ猫と豚達を見ていたが一緒にいる若い女性の助手が言った。
「教授、これはです」
「珍しい事例ね」
「豚達も社会的生物で」
それでというのだ。
「群れを為しその中にリーダーもです」
「いるわね」
「はい、ですが」
それでもとだ、金髪をショートにした緑の目の彼女は言った。
「猫がリーダーなのは」
「私も他に知らないわ」
「そうですよね」
「こうした事例はね」
実際にというのだ。
「本当にね」
「他にないことで」
「だから私もね」
「研究されていますね」
「こうしてね」
実際にその目で見てというのだ。
「そうしているのよ」
「そうですね」
「ニャア」
「ブウ」
「ブヒブヒ」
「ブキッ」
豚達は外を歩いているが先頭にいる猫、シェルドンという雄猫の誘導を受けて進んでいる。そして特に。
シェルドンの傍には白と黒の豚がいるが。
「あの子は雄でサンデーというのよ」
「シェルドンと一番仲がいいですね」
「ええ、そして他の子もね」
「シェルドンと仲がいいですね」
「シェルドンも面倒見がいいから」
猫である彼もというのだ。
「猫と豚でもね」
「絆が生まれてですね」
「猫が豚の群れのリーダーになる、どうしてそうなるかをね」
「今はですね」
「見ていくわ」
学問としてそうしていくというのだ、こう言ってエマニエルはシェルドン達を見て研究し。
その中でタイにも学問の研究で渡ってだった。
まずはバンコク郊外にあるサムットプラカーンクロコダイルファームアンド動物園八万匹の鰐がいる世界最大の鰐園とその横にある動物園に行き。
そこにいる二歳の雌のチンパンジーのドドが虎の赤子の雌のオアンの傍にいて彼女に哺乳瓶からミルクをあげたりして。
背中を愛おし気に撫でたりしているのを見て同行している助手に言った。
「チンパンジーは知能が高いからね」
「二歳というとまだ子供ですね」
「その子供でもね」
「愛情を持っていて」
「そしてその愛情をね」
「虎に向けることもあるんですね」
「そうみたいね」
こう助手に話した。
「どうやら」
「キキッ」
「ガウガウ」
彼等はとても仲がよさそうだった、そして。
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