第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「そうなりました」
「そうですか」
「そしてずっとです」
「こちらにですか」
「います、この子はです」
ブードゥーの頭を撫でた、すると彼は目を細めて喉を鳴らす。その彼を愛おし気に見ながらスティブルズに話していった。
「爪を抜かれたので」
「だからもう自然には」
「戻れないので」
だからだというのだ。
「ここで、です」
「ずっとですね」
「育てていきます、ただ」
「それでもですね」
「いい子ですよ」
ブードゥーを愛おし気に見たまま話した。
「大人しくて甘えん坊で」
「そうした子ですね」
「辛い目にあった分だけここでは」
「幸せにですね」
「なってもらいます」
こう言うのだった、そしてだった。
二人でさらに話していった、スティブルズはそれからもだった。
北米を回って学んでいった、その後で。
オーストラリアに戻った、すると。
彼が働いている公園では二千匹以上の色々な生きものが暮らしている、彼はその中で一匹の雄のコアラを見た。
それでだ、若い女性の後輩に話した。
「アーチャーもね」
「かなり大きくなりましたね」
「うん、よかったよ」
こう言うのだった。
「有り難いことに」
「そうですね」
「最初この子は」
「クゥ」
ユーカリの木の上にいる彼を見つつ話した。
「最初はね」
「母親に飼育放棄されて」
「本当にどうなるか」
「わからなかったですね」
「そうだったんだ」
こう後輩に話した。
「だからね」
「それで、ですね」
「うん、本当にね」
だからだというのだ。
「ここまで育ってね」
「よかったですね」
「これからも」
彼はさらに言った。
「無事にね」
「成長していって欲しいですね」
「そうなる様にするよ」
スティブルズはこうも言った。
「是非ね」
「それが私達の仕事だからですね」
「そうする為にここで働いているしね」
仕事というだけでなく好きだからというのだ。
「だからね」
「これからもですね」
「そうしていってね」
「頑張っていきますね」
「そう、そして」
そのうえでというのだ。
「アーチャーだけでなく」
「他の子もですね」
「ここにいる皆はね」
全ての生きもの達がというのだ。
「これからも」
「幸せにしていきましょう」
「僕達がね、どんな子でも人間次第でね」
自分達の努力でというのだ。
「幸せになれるし」
「北米に行かれてですね」
「そのこともわかったし、あらためて」
「それでは」
「うん、頑張っていこう」
「そしてそのうえで」
「アーチャーも他の皆も幸せにしよう」
スティブルズは北米での研修のことを思い出しつつ言った。そして実際にだった。
自ら励んで彼等の世話をし
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ