第二章
[8]前話
「お礼を言いに来たのね」
「そうだな、昨日助けてもらったからな」
「そうしたのね」
「そうだな、鹿も助けられたら」
「ああしてお礼を言うのね」
「そうだな」
「そう思ったら人もよくしてもらったら」
孫娘はあらためて言った。
「お礼を言わないとね」
「駄目だな」
こうした話もした、二人で鹿達が去った後をハーレーと共に暫く見ていてそうしたことを考えてった。
そのドーンがカナダのポートジェファーソンに旅行に来てだった。
港にいる時だった、不意に。
「ワンワンッ!」
「どうしたんだ?」
港にいたゴールデンレッドリバーの雄が急に鳴きだして。
そのうえで海に飛び込んだ。それで飼い主だった茶色のショートヘアで黒い目の青年が驚きの声をあげた。
「ストーム、何処に行くんだ」
「ワン!」
ストームと呼ばれた犬はだった。
海に飛び込んだ、そして。
海で溺れていた子鹿のところまで泳いでいきその首の後ろを咥えて。
そして港まで連れて行き救助した、すると青年はだった。
自分の携帯を出してそうして言った。
「はい、子鹿がです」
「ポートジェファーソン港で、ですね」
「助けられたんで後のことをお願いします」
「わかりました、誰にですか?」
「うちの犬にです」
こう電話の向こうの連絡をした動物保護団体のスタッフに話した。
「ストームに。僕はマイク=フリーリーといいまして」
「フリーリーさんですか」
「ニューヨークから観光で来ています」
「そうですか」
「はい、それで今鹿は弱っていてストームが寄り添っています」
「では今すぐに」
「来て下さい」
こう言うとだった。
連絡は終わった、すぐにその団体のスタッフが来て鹿を見たが。
「ヒヒン」
「命に別状はありません」
「そうですか」
「後はこちらで手当てをして」
そしてとだ、スタッフはフリーリーに話した。鳴いたその鹿を見ながら。
「健康が回復したら野生に戻します」
「その様にお願いします」
「それでは」
こう話してだった。
鹿は保護されて団体の方に連れて行かれた、その間ずっとだった。
ストームは雌のその子鹿にずっと寄り添っていた、そして飼い主は鹿が動物用の救急車で連れて行かれてから愛犬をよくやったと笑顔で撫でた。
ドーンはその光景をずっと見ていた、そして。
この話をバージニアに帰ってから家族に話した、すると家族はあらためてハーレーを見た、そのうえで犬はそうした生きものだと頷いてより彼を愛し可愛がる様になった。
鹿を助ける勇気ある犬 完
2021・7・27
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