-恐怖の獣たち-
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「紗夜ちゃん!」
それがココアの声だと認識した途端、トレギアの手が離れた。
夕方の光が、闇に染まった視界に飛び込んでくる。それにより、紗夜は息を吹き返した。
「何だ?」
トレギアが静かにココアの声を振り向く。
するとそこには、息を切らしたココアが、こちらを見つめていた。
「紗夜ちゃん! やっと見つけた……みんな探したんだ……よ……」
きっとココアは、目の前の景色に唖然としていることだろう。
傷だらけの響と友奈が芝生の中で倒れ、林の中で腰を付けている紗夜の前には、青いピエロがいる。
「やれやれ。また邪魔が入ったか……」
トレギアはそう言って、ココアへ足を向けた。
「さっきの二人は、サーヴァントだったから少し遊んであげた。だけど、君は駄目だ」
「やめて……」
今の紗夜の願いを、この逢魔は聞き届けてくれない。
「ただの一般人に見られては、君も面倒だろう?」
「や、やめ……」
紗夜が止める間もなく、トレギアがどんどんココアへ近づいていく。
「さよなら。ただの一般人さん。間違えてここに来たことを後悔するんだね」
トレギアの右手に、黒い雷が宿る。
それは、ただの生身の少女であるココアへ___響や友奈のような、守ってくれる存在がいないココアへ伸びていく。
だが。
ココアの手がいつの間にか腰のポーチへ伸びていた。
彼女のポーチに入っていた、白い棒。日本刀のようにも見えるそれを取り出し、その柄を抜く。光が宿った刀身を、仮面のサーヴァントに見せつけた。
「……まさかそれは!?」
どうやら仮面の男は、それが何か知っているようだった。
「あっ……」
紗夜も、それには見覚えがあった。
ココアもまた、自身がなぜそれを取り出したのか、理解していない様子だった。だが、彼女の意思かそうではないのか、彼女の体は、あたかも定まっていたかのように動く。
一度手元に戻し、鞘から引き抜く。
日本刀のような動きから、溢れ出した光がトレギアを包み、焼焦がしていく。
やがて、光の中から現れた、銀のヒューマノイド。
「保登さん……」
始業式の日だけではなかった。
ココアの、不可思議な姿。
銀のヒューマノイドは、そのままトレギアの雷を両手で防ぐ。中心から軌道をそらされた雷は、周囲の木々を焼き尽くすが、銀のヒューマノイドはそのまま、顔を上げてトレギアを睨む。
「へえ……」
トレギアは紗夜から完全に離れ、銀のヒューマノイドを睨む。
「驚いたなあ。まさか、この世界に君がいるなんてね」
だが、銀のヒューマノイドは答えない。以前見たときと同じ、胸に手を当て、広げることで、銀のヒューマノイドはその体を赤く変色して
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