-恐怖の獣たち-
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つ、ドライバーオンウィザードリングを起動と同時に投げ捨てる。
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
もう指輪をつけるのももどかしい。
左手に持ったトパーズの指輪を、そのままベルトにかざした。
「変身!」
『ランド プリーズ ドッドッ ド ド ド ドンッドンッ ドッドッドン』
黄色の魔法陣が、軟体生物ごとハルトを包む。やがて、軟体生物では食らうことが出来ない固さになったウィザード、ランドスタイルが、その口を逆に無理矢理開いた。
「いきなり……何なんだ!?」
再びウィザードはそう叫びながら、怪物を放り投げる。
全身の九割以上が水で構成されていそうな不気味な敵に、ウィザードは静かにウィザーソードガンの刀身に指を走らせた。
狼の叫び声。
「な、なんですか……?」
人間の本能的領域に刻まれた恐怖の呼び声。チノもまた、その声に怯えていた。
だが、その犯人が移動する姿を、可奈美の目ははっきりと捉えていた。
「いる……っ!」
その、人間の根底に眠る恐怖を呼び起こしたのは、狼など可愛く思える生物だった。
二足歩行のそれの顔は、確かに狼。それだけならば、それを狼男程度と呼べただろう。
だが、その両肩からもまた頭が生えている。さらに、両肩の顔には、左右一つずつしか目がなく、中心の顔には目がなかった。
自然ではありえない生物に、可奈美は顔を青くしていた。
狼は吠える。そして。
「チノちゃん!」
それは凄まじい速度で、チノを狙う。その首を狙う斬撃は、可奈美の動体視力がなければ危なかった。
可奈美はチノを突き飛ばし、その毒牙よりチノを避難させる。
狼は可奈美の腕を少し裂き、可奈美に悲鳴を上げさせる。
「痛っ!」
「うわわ!」
可奈美に突き飛ばされたチノは、そのまま地面に頭を打ち付け、気絶する。
チノを仰向きにした可奈美は、再び怪物の姿に目を凝らす。
「い、いきなり何!?」
可奈美は慌ててギターケースから千鳥を取り出し、その体を白い光に染め上げる。
だが、その間も獲物を狙う狼は止まらない。無力な獲物から可奈美に狙いを変更し、飛び上がる。
「止める!」
だが、同時に上空の狼は、その両肩の口より火球を放った。
「えっ!?」
接近戦で来ると踏んでいた可奈美は、予想外の攻撃に対応が遅れ、その炎をまともに全身に受けてしまう。
全身に、生身では耐えられない高温を浴び、可奈美は大きく地面をバウンドする。
「っ……!」
目の前に着地した狼男。その鉤爪が、可奈美の命を奪おうと迫り来る。
「危ねえ!」
その斬撃が、モカを突き飛ばした
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