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八条学園騒動記
第六百二十二話 お茶だけでその十四
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「全くの素人じゃなかったから」
「淀殿さんと違って」
「もう淀殿さんはね」
 彼女はというと。
「昔は女性が政治に関わると、とかね」
「こうなるって言われてたわね」
「これは女性への偏見だよ」
「そうよ、それに過ぎないわよ」
 蝉玉が怒った顔で反論してきた。
「女の人でも出来る人はね」
「出来るよね」
「逆に男の人でもでしょ」
「駄目な人は駄目だよ」
「そうでしょ」
「その人次第でね」
 性別に関係ないというのだ。
「淀殿さんは政治も軍事も完全に素人だった」
「プライドだけ高くてヒステリー持ちで」
「そうした人だったから」
「駄目ってことね」
「自分のことも豊臣家のことも天下のことも全くわかっていなかったから」
 自分が当時それだけで家の実質的な主それも征夷大将軍であり右大臣であった徳川家康より上にあると考えていることもというのだ、当時は何と言っても役職や官位が非常に大きな意味を持っていたのだ。
 だが菅は今はこのことは言わずその次の二つのことを話した。
「豊臣家はもう天下人じゃない」
「秀吉さんが亡くなって」
「もうそうなっていてね」
「天下、日本もだね」 
 スターリングも言ってきた。
「徳川家、幕府が治める様になっていっていた」
「それがわからないで」
「ああして振舞っていた」
「そんな人だったから」
 それでというのだ。
「もうね」
「自滅したんだね」
「何もわかっていなままね」
 まさにそのままでというのだ。
「自分で自分を追い詰めたんだよ」
「何か創作の世界みたいだね」
「だから創作でもよく出ているよ」
「それで破滅しているんだ」
「うん、まあ破滅するべくしてね」
 何の能力もなく何もわかっていない故にというのだ。
「そうしてね」
「滅んだ人だね」
「そうだよ」
 淀殿、彼女はというのだ。
「ああした人はトップになるべきじゃないね」
「その通りだね」
 スターリングも納得した顔で頷いた。
「僕も思うよ」
「何の能力もなくて何もわかっていなくてあれこれ動く人は」
「無能な働き者?」
「あの人は向いている世界なら」
 政治や軍事以外の世界ではというのだ。
「ましだったと思うよ」
「プライド高くてヒステリー持ちでも」
「お家は潰さなかったわね」
「うん、茶道でもしていれば」
 菅は今までその話をしていたのでそこに話を持って行った。
「それに専念して政治や軍事は賢い人に任せていれば」
「お家も滅ぼさないで」
「ご自身も平和に暮らせたわね」
「そうなっただろうね」
 こう言ってだった。
 菅は自分のレモンティーの最後を飲んだ、それは他の四人も同じでそれを飲んでから店を出たがこれで終わらなかった。


お茶だけで   完

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