第二章
[8]前話
アナスタシアはペット可のアパートに移った、そこで。
タイガーを入れて彼を去勢もした、そうして家に友人も招いて話した。
「これからはね」
「その子と一緒に住むのね」
「そうするわ」
「そう、じゃあ幸せにね」
「そうなるわ」
「ニャア」
タイガーはアナスタシアに抱かれながら鳴いた、彼女も彼も幸せそうだった。友人が見てもそうだった。
アンは旅行が趣味だ、それで今はボスニアヘルツェゴビナに旅行に行ったが。
あるアパートの前で黒とブラウンで頬の白い猫を見た、その猫を撫でると。
二階のある部屋のバルコニーからだ、癖のある身体の後ろを覆う様な長い髪の毛で艶やかな黒い目と明るい顔立ちの女性が言ってきた。
「うちのジジに用?」
「貴女がこの娘の飼い主なの」
「そうよ」
「ニャ〜〜〜」
ここでジジと呼ばれた猫も鳴いた。
その鳴き声を聞きつつだ、女性はさらに言った。
「私はアシャ=マルケニア。この家の娘で高校生よ」
「学生さんなのね」
「それでジジは女の子なの。よくうちの近くをうろうろしていて」
そしてというのだ。
「私が今いるバルコニーにご飯をお水をあげたら」
「来て食べたのね」
「それまでは近寄っても逃げられていたけれど」
「警戒されていたのね」
「そうだったけれど」
それでもというのだ。
「そこから馴れてね」
「家族に迎えたの」
「今じゃ」
「ニャア」
ここでだった、ジジは。
アシャがいるバルコニーに来て喉を鳴らしてだった。
彼女に頭を摺り寄せて後ろ足で立って前足をかけたりもした、アシャはそんな彼女を愛し気に見つつアンに話した。
「この通りよ」
「最初は警戒されていても」
「根気よく接していれば」
「心を開いてくれるわね」
「猫はね」
「そうね、いいものを見せてもらったわ」
アンはアシャに笑顔で返した、アナスタシアとタイガーのことを思い出しながら。
「このこと思い出にさせてもらうわ」
「そうしてくれるのね」
「そうしていいかしら」
「ええ、どうぞ」
アシャは笑顔で応えた、そしてジジを抱き上げた。アンはその彼女を見てからその場を後にした。そして旅行を楽しんでからイギリスに戻ってアナスタシアに旅のことを話すと彼女はそれが猫だと笑顔で言った、そのうえでタイガーを撫でるがタイガーは嬉しそうに喉を鳴らした。
ほぐれる警戒心 完
2021・7・25
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