第二章
[8]前話
「今ではね」
「変わりましたね」
「随分とね」
実際にとだ、キンドットは答えた。
「そうなったよ」
「そうですね」
恵理はキンドットの言葉に頷いた、そして。
後日キンドットは恵理を今度はオーストラリアの森に連れて行った、すると目の前に穴があった。その穴を見てまた恵理に話した。
「これはウォンバットの穴だよ」
「オーストラリアの生きものですね」
「日本でも有名だよね」
「はい、可愛くて」
それでとだ、恵理は答えた。
「それで」
「そうだね、ウォンバットもね」
この生きものもというのだ。
「穴をね」
「掘るんですね」
「そしてね」
「この穴も水源ですか」
「いや、ここは避難場所だよ」
こう恵理に答えた。
「こちらはね」
「森は水源があるので」
「砂漠と違ってね」
「だからですか」
「そう、それで水源じゃなくてね」
そうでなくというのだ。
「避難場所なんだ」
「避難場所といいますと」
「火事とかあったら」
その場合はというのだ。
「この穴に色々な生きものが逃げ込むんだ」
「そうなんですね」
「実は深い穴だから」
だからだというのだ。
「意外と多くの生きものが入られるんだ」
「それで難を逃れられますか」
「一説にはウォンバッドが誘導しているとも言うよ」
生きもの達を自分の穴に進んで避難させているというのだ。
「どうもね」
「そんなお話もあるんですね」
「本当かどうかわからないけれどね」
「そうなんですね」
「兎に角ウォンバットの穴は避難所だよ」
森の生きもの達にとってのそれだというのだ。
「だからウォンバットも大事にしないとね」
「いけないですね」
「そうなんだ」
「自然は大事にしないといけないですね」
「そうだよ」
その通りだというのだ。
「ウォンバットにしても」
「砂漠の驢馬にしても」
「それが自然を守ることだよ」
「そうですね」
「そう、大事にしていこうね」
こう言ってだ、そしてだった。
キンドットは恵理にオーストラリアの自然のことそれにこの国の他のことを色々と教えた、そうしてだった。
恵理はこの国で多くのことを学んでそのうえで日本に帰った、そして日本でその得た知識を役立てた。そこには自然を守ることの大切さもあった。
驢馬達が掘った穴 完
2021・7・25
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