第一章
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驢馬達が掘った穴
日本からオーストラリアに来た留学生大泉恵理はキンバリーに広がる沙漠を見てホームステイの家の主でこの沙漠に案内してくれたロビン=キンドットに言った。黒のセットしたショートヘアで目はきりっとして黒だ。背は一四八程だ。
「日本には砂漠がないですから」
「もの珍しいね」
「はい」
そうだというのだ。
「はじめて見ましたし」
「そうだね、実はオーストラリアはね」
還暦を迎えている男性だ、髪の毛は薄くなっていて顔には皺が多い。グレーの目で穏やかな顔立ちで背は中背だ。
「砂漠がかなりあるんだ」
「大陸の中央はですね」
「グレートディバィディング沙漠で」
「かなりの部分がですね」
「国土のかなりの部分が乾燥していて」
そしてというのだ。
「そのうえでね」
「砂漠もですね」
「多いんだ」
「そうなんですね」
「うん、ただね」
キンドットは恵理にさらに話した。
「これから砂漠に入るけれど」
「危ないですか」
「毒蛇もいるから」
「オーストラリアは毒蛇も多いですね」
「有袋類が多くてね」
「海には鮫が多くて」
「陸地はそうなんだ」
こちらはというのだ。
「毒蛇も多くて」
「砂漠にもですね」
「多いからね」
「毒蛇に注意してですね」
「進んでいこう」
「わかりました」
恵理はキンドットの言葉に頷いた、そしてだった。
二人で砂漠に入って実際に見ていった、すると。
砂漠には穴もあった、恵理はその小さな穴を見て言った。
「これは」
「その穴だね」
「かなり大きな穴ですが」
「驢馬が掘ったんだ」
キンドットはこう答えた。
「その穴は」
「驢馬がですか」
「野生のね、穴を掘ってね」
そうしてというのだ。
「いざという時の水源にしているんだ」
「あっ、お水を確保して」
恵理もそう言われてわかった。
「そして」
「そのうえでね」
「飲んでいるんですね」
「言うなら井戸でね」
そしてというのだ。
「驢馬以外にもなんだ」
「そのお水を飲んでいますか」
「そうしているんだ」
「そうした穴なんですね」
「野生の驢馬はね」
こうもだ。キンドットは話した。
「かつては害獣だったんだ」
「畑を荒らすから」
「そうなんだ、それでね」
その為にというのだ。
「駆除されていたけれど」
「こうした穴を掘って生きていたんですね」
「それで驢馬以外にもね」
「他の生きものもですか」
「使うから」
即ち水を飲んでいるというのだ。
「だからね」
「今ではですか」
「生きものの水源を作ってくれて」
そしてというのだ。
「生きさせてくれていて」
「驢馬がいるとですね」
「環境保護になるから」
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