第十三章
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翌春、僕は、県庁を退職した。以前から、中村課長には打ち明けていたが、ずーと反対されていた。いずれ、技術センターに移動することもあるからということだったが、最後には、納得してくれた。そして、島の村役場のほうにも、掛け合ってくれて、空き家を借りられることになった。
漁協のほうにも話をしてくれて、もちろん、誠一郎さんの後押しもあって、勤められるようになった。島の漁師が捕ってきた魚を取りまとめて、取引先に売り渡したり、氷の用意とか運搬したりとか、いろいろな仕事があるのだが、僕にとってありがたいのは、空いた時間にサンゴの海の環境について調査研究ができるということだった。
僕は、みんなに感謝していた。夢を叶えることに、助けてくれている。島に移った時、最初に役所に、お礼に行った。すると、村長が相手をしてくれた。
「中村さんからも聞いているよ。島に移り住んでくれる若い人は大歓迎だよ。真面目な男なんで、見守って欲しいとも。ここは、漁業ときれいな海しか無くてね、サンゴも守る政策をなんとか進めなければ思っています。でも、そういう志しを持った若い人がここに住んでくれて、心強いのです」
「住むところを紹介していただきまして、ありがとうございます。仕事のことも、助けていただいて」
「いや、仕事の方は、漁協と話しあってね カンコーさんのほうも、ここの魚の取り扱いも確保してくれてね 漁師も喜んでいるよ 今後、サンゴの保護活動にも賛同してくれるそうだ」
「そうなんですか 神谷さんは、そこまでしてくださっていたんですね」
「いや 君みたいな若い人のチカラになるのは、我々の努めだよ 頑張って、ずーと海を守って、この島を盛り上げていってくださいね」
- - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - -
私は、社長さんの帰って来るのを待っていた。
「モトシのこと、いろいろありがとうございます。私、彼から聞くまで知らなくて」
「いや それは、誠一郎がやってたことなので、ワシはあとから聞いた。なんだか、良かったじゃあないか。でもな、絢さんも一緒に行くんだろう 会社にとっては、痛手なんだ 今は、君は誠一郎の右腕みたいなもんだからな」
「でも 私・・」
「心配するな 誠一郎とも、そこは相談している 悪いようには、しない 大切な娘さんを預かっているんだから うちの会社にとっても宝物だし 彼にとっても宝物なんだろう」
「社長さん 私・・」下向いて、感謝しながら、涙を押さえていたんだと思う。
「あなた どうして、絢ちゃんを泣かせているのよ なにを言ったのよ かわいそうに」と、その時、奥さんが側に来た。
「いや ワシは何もひどいことは・・」
「ちがうんです 奥さん うれしくって こんなに大切に思っていただい
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