トレギア
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
言いながら、その赤い目を光らせる。放たれた赤い光線が、友奈の体に火花を散らした。
「もう少し打って変わった手がないのかい? こんな風にね!」
トレギアの右手が、闇に包まれて消える。
すると、友奈たちの目前に現れた闇より、消失した右手が現れ、二人を叩く。
勢いを殺され、バランスを崩した二人。
「まだまだッ!」
だが響は倒れず、再びトレギアへ踊りかかる。
目で追うだけでも素早さを感じる響の動き。だが、トレギアは背後で手を組んだまま、そのすべてを躱して見せた。
「響ちゃん! 私も!」
さらに、友奈の攻撃も加わる。
紗夜の眼では捉えきれないほど素早い武術が二重になって、トレギアを襲う。だが、仮面のサーヴァントには、決して命中することはなかった。
「くくく……ほら」
「へ?」
響の背後へ回り込んだトレギアは、そのまま響の足を払う。そのまま転倒した響を助け起こそうとした友奈の目の前で、トレギアは指を突き出した。
「おいおい……そんなんじゃダメだなあ」
そのまま、友奈とトレギアは睨み合う。
やがて、起き上がった響がトレギアの手を打ち払い、さらなる攻撃の手を加えた。
しかし、トレギアは勢いをつける響の頭を抑える。
そのまま足だけが宙返りになる響を、地面に打ち付ける。
さらに、背後の友奈の蹴りもまた、掴み、放り投げる。
「さあ……そろそろ終わらせようか……?」
トレギアの周囲の闇が色濃くなる。
両手から発せられる雷、トレラアルティガイザー。
それは、響、友奈のみならず、その直線上の紗夜さえも射程内だった。
「!?」
その危機に、紗夜は息を呑む。雷光が自らの命を粉微塵にする寸前。
響と友奈が、盾になるように立ちはだかる。
「させない! うおおおおおおおおおおおお!」
「勇者はッ! 根性おおおおおおおおおおお!」
それぞれの色の光とともに、二人のサーヴァントは踏ん張る。
そのおかげで、強烈な雷の魔の手は、決して紗夜には届くことはなかった。
やがて、響と友奈は押し負け、変身解除とともに野へ転がってしまう。
「立花さん! 結城さん!」
芝生の中で目を覚まさない二人に、紗夜は悲鳴を上げる。
「やれやれ……これで終わるのなら、邪魔しないでほしかったなあ?」
肩の埃を掃いながら、トレギアは再び紗夜へ歩み寄る。
「ちゃんと、私のパズルに沿ってもらわないとね……」
気を失った二人には目もくれず、トレギアは歩く。
足に力が入らず、上半身の力だけで逃げようにも、木々という足場の悪い中、トレギアから逃げられるはずもない。
「っ!」
痛み。
右手が、木の根に引っかかった。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ