青い影
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「お姉ちゃんに任せなさい!」
「……こうやってすぐ甘えちゃうからお姉ちゃん越えができないんじゃない?」
失言だったと後悔した。
するとココアは、あたかもこの世の終わりのような顔をして嘆く。
「ヴェアアアアアアアアアアア!」
「ココアさんがハルトさんの言葉で死んでます!」
「さてと……」
そのまま逃げるように、優勝者の方へ歩くハルト。
もっとも、友奈はまだ可奈美に背中をさすってもらっている状態なので、日菜にしか話を聞けないが。
「それで? えっと……日菜ちゃん、だったっけ? と友奈ちゃんは、何するの?」
「なせば……」
「ん?」
さすられたままの友奈が、絞ったような声を上げた。
「なせば大抵……なんとかなる……ガクッ」
「友奈ちゃんが倒れた!」
「きっと日菜ちゃんのるんるんコンボに耐えられなかったんだ!」
「いやハルトさん、冷静に分析しないで!?」
可奈美が白目で叫ぶ。
結局、今無事な日菜がお願いすることになった。
「うーん……それじゃあ! るんって来た!」
日菜の頭上に電球が灯る。
「お姉ちゃん!」
「嫌よ」
紗夜が有無を言わさずに否定した。
この場が一瞬凍り付く。
「……ごめんなさい」
「ごめんなさいって……」
どうしたの?って聞き返そうとしたハルトは、口を噤んだ。
妹といる時間をあえて取りたくないのだろう、と理由を推測してしまったのだ。
紗夜も、思わず空気を悪くしてしまったことに気まずさを感じているようだった。
「ごめんなさい……保登さんも。私、先に失礼します」
紗夜はそのまま、そそくさと立ち去っていった。遊歩道を歩いていく彼女の後姿を、日菜は残念そうに見送った。
「ええ? お姉ちゃん、待って!」
「来ないで!」
紗夜が叫ぶ。
その声に、日菜もまた思わず足を止めていた。
「お姉ちゃん……?」
「……ごめんなさい」
唖然としている日菜を置いて、紗夜は走り去っていった。
そんな彼女を追うべきかどうか。ハルトも、他のみんなにも分からなかった。
「……最低ね……私」
成り行きで参加したとはいえ、皆の空気を悪くしてしまった。
公園の遊歩道は、赤い空に染め上げられている。
休日の見滝原公園は、もう大勢が帰り始めている。親子連れが通過するのを、紗夜は黙って眺めていた。
やがて、目の前に幼い姉妹が駆けていく。仲が良さそうに、互いに笑顔を向け合う姉妹を見て、紗夜はさらに気分が落ち込んだ。
「待っていたよ。氷川紗夜さん」
突如として呼ばれる自分の名前。
聞いたことのない声に、紗夜は思わず振り返る。
人気のない、夕方の公園の
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