第十四話 反面教師その一
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第十四話 反面教師
咲は下校中にだった。
あまりにも酷い人を見て顔を顰めさせた。それで一緒に帰っていた漫画部の二年の女子の先輩に言った。
「あの、あそこの」
「うわ、酷いわね」
その先輩もその人を見て顔を顰めさせた、咲のこっそり指し示した方を見て。見れば。
座席で横になって寝ている、そしてだらしない姿勢でいびきをかいている。くたびれたスーツを着た中年男だ。
「何あれ」
「最悪ですよね」
「電車の中で寝るにしても」
「座席で横になって」
「靴履いたままでね」
しかもその靴を履いた足を座席にやっている。
「そうしてるわね」
「無茶苦茶ですね」
「サラリーマンかしら」
「会社何処ですかね」
「あれかしら。リストラされて」
そうしてとだ、先輩は咲に話した。着ている制服は咲のものと違い青のミニスカートとブレザーそして水色のブラウスでネクタイは群青色だ、黒髪を短くしている。
「それでね」
「自棄になってですか」
「酔ってるし」
「お顔赤いですしね」
「それでね」
リストラされて自棄酒を飲んでというのだ。
「ああなってるのかしら」
「リストラは大変ですね」
「仕事がなくなるからね」
「これからどうなるか」
「そう思ってね」
それでというのだ。
「大変だけれど」
「それでもああしたことはですよね」
「したらいけないわ」
「本当にそうですよね」
「よくどうせ死ぬんだとかね」
先輩は咲にこうした話もした。
「病気になって」
「それで自棄になって悪いことをしますね」
「漫画とかであるでしょ」
「はい、地震で出られなくなったりしても」
「地下とかでね」
「それでもう普段の姿じゃなくなって」
自暴自棄に陥ってというのだ。
「悪いことをする」
「そうしたお話あるけれど」
「最後の最後まで自分を保ちたいですね」
咲は心から言った。
「やっぱり」
「そうよね、理性的にね」
「死にたいですよね」
「人間としてね」
「獣みたいにならないで」
「そうありたいわ」
是非にというのだ。
「私もね」
「そうですよね」
「人間ならよ」
それならというのだ。
「最後の最後までね」
「理性を保って」
「人間として死にたいわよね」
「それでリストラされても」
「理性を保って」
そしてというのだ。
「飲んでもああならないで」
「最低限のマナーは守って」
「それで次のお仕事探して」
「やっていきたいですね」
「全くよ、あと変にお金や権力持って」
先輩は咲にこうした話もした。
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