第二章
[8]前話
「ニャンニャン」
「この娘はシリっていうの」
「随分元気な娘ね」
「それでも保護された時はね」
ニッキーはシリのその頃のことから話した。
「物凄く痩せていて餓えていてね」
「大変だったのね」
「栄養失調で」
それでというのだ。
「蚤や寄生虫だらけの子猫で内臓もね」
「弱っていたの」
「自分の毛を食べて生きていたの」
「そんな猫はじめて聞いたわ」
獣医のジョーもだ、思わず言った。
「そこまでしてなのね」
「生きようとしていたの。お陰で毛もかなりなくなっていたけれど」
それでもというのだ。
「保護されてからはその気持ちもあって」
「必死に生きようという」
「それでね」
その気持ちがあってというのだ。
「手当てを受けたらどんどん元気になって毛も戻って」
「それでなの」
「すっかり元気になってうちでね」
「家族に迎えたのね」
「そうなの、最初はルルって名前だったけれど」
名前の話もした。
「保護された時は。それで家に来た時に」
「シリって名付けたの」
「それで今に至るけれど今はね」
「ニャン」
「ニャンニャン」
そこに来た茶色の毛の猫と遊びだした。
「うちに前からいたピーチ、雌でこの娘も元野良猫だけれど」
「仲いいわね」
「そうなってね」
「ワン」
「ワンワン」
今度は白いマルチーズと黒のミニチュアダッグスフントが来たが。
シリは彼等とも遊びはじめた、四匹で遊ぶ彼等を見つつジョーにさらに話した。
「マルチーズのプリンス、ダッグスフントのフレディ。二匹共雄だけれど」
「その子達とも仲いいわね」
「そうなったわ、今じゃね」
「皆と仲がよくて」
「幸せよ。主人や子供達とも仲良くなってるし」
「必死に生きようとボロボロだったけれど」
「今はね」
見ての通りにというのだ。
「そうなったわ」
「いいことね、実はね」
ここでジョーはエスモアズのことを話した、すると。
ニッキーは笑顔でこう言った。
「必死に生きようとする気持ちが大事ね」
「何よりもね」
「そうね、誰でもね」
こう二人で話した、そしてジョーはニッキーと共にシリと彼の家族を可愛がって旅行も楽しんでからだった。
アメリカに戻った、するとエスモアズは今も元気だった。身体は小さいが彼は生きることを全力で行っていた。
生きる力は猫にも 完
2021・7・23
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