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捨てられた狼犬
第一章

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                捨てられた狼犬
 ロサンゼルスに住んでいるゴー=チャクリーは黒髪をお下げにした黒い目の女性だ、大学を出たばかりで今は働いている。その彼女が街でとてつもなく大きな犬を見た、犬は大きいだけでなく随分と迫力のある狼の様な外見だった。それで怖くなってだった。
 スマートフォンですぐに最寄りの動物保護団体を検索してそこに連絡した、そこで犬の画像もメールで送った。
「ご覧の通りです」
「また大きいですね」
「首輪はしていますが」
 見ればそれはあった。
「ですが」
「それでもですね」
「ご覧の通りの外見なので」
 それでというのだ。
「ですから怖くて」
「はい、すぐに人をやります」
「そうしてくれますか」
「そして保護しますので」
「お願いします」
 こうしてだった。
 犬は保護された、しかし。
「何だこの犬」
「狼みたいだけれど」
「狼が街をうろうろしている筈がないし」
「何なんだ?」
「どんな種類なんだ?」
 誰もが首を傾げさせた、だが。
 たまたま他の団体から助っ人で来ていた者がこう言った。
「これは狼犬ですよ」
「狼犬!?」
「狼と犬のハーフの」
「その種類なんですか」
「何かと思ったら」
「詳しく調べないとわからないですが」
 それでもというのだ。
「そうだと思います」
「そうですか」
「うちはちょっと狼犬に詳しい人いないですし」
「普通の犬や猫ならいいですが」
「狼犬は」
「狼に近いなら」
「それではうちの団体は狼犬も扱っていますので」
 その助っ人に来たスタッフが申し出た。
「こちらで引き取らせてもらっていいでしょうか」
「お願いします」
「ではそれで」
「それでお願いします」
「うちでは狼犬は取り扱えないので」
「その様にしてくれると」
「わかりました」
 こうしてだった、この狼犬は調べると雌だったのでジュリアと名付けられて正式に保護された、そして獣医に診せると。
「全身傷だらけで膿も出ていて」
「そうでしたか」
「痩せ細っていました」
「では飼われていたのが」
 首輪をしていたことから言われた。
「捨てられたんですか」
「おそらく」
「そうですか」
「ですが」
 それでもとだ、獣医は話した。
「もうです」
「大丈夫ですか」
「治療をしました、後は食事と水を与えていきますと」
 そうすればというのだ。
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