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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十 共同戦線
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切り離し、地面に潜り込ませ、チャクラ刀を影から引っこ抜くことで自由になった。

あの時の情景を思い浮かべながら、シカマルはカカシに己の推測を語る。

「先ほど本体から切り離した腕に心臓のようなモノがついていて、自立して行動していた。おそらく奴本体を含め、身体から出てきた化け物それぞれに心臓があり、その全てが奴のモノ…」
「カカシが抉った心臓は奴の複数もつ心臓の一つだったというわけか」

シカマルの推測に、得心がいったように再不斬が言葉を返す。

角都本人を倒せば化け物は動けなくなるのではなく、元から化け物ひとつひとつに心臓がある。
そう考えれば、寸前にカカシが放った雷切で角都が死ななかったことも頷ける。


「つまり奴には心臓が一つじゃないってことだ」
「よく気づいたな…その通り。出血大サービスに良いことを教えてやろう」

シカマルの推測に同意を示した角都は背後に聳える能面の化け物達を眺めながら、ふ、と眼を細めた。

「俺のそれぞれの心臓はかつて戦って奪い取った忍び達のモノだ…その数は己のも含め五つ。数こそ減らされたが…また補充は利く」

シカマル・チョウジ・カカシ・再不斬を値踏みするように視線を這わせ、角都はうっすら嗤った。


「お前らの心臓でな」


ひゅっと息を呑むチョウジの前で、「なるほど?」と再不斬は首切り包丁をドスン、と地面に突き刺した。

「それで俺の心臓をやけに狙ったわけか」
「ああ。今しがた、水遁を使える分裂体がやられたからな。減らされた分、お前達の心臓を頂く──写輪眼のカカシ・霧隠れの鬼人」

角都の宣言に、再不斬は肩越しにカカシを振り返った。

「いい迷惑だな、おい」
「まったくだ」

お互いに肩を竦める両者の後ろで、シカマルは角都の話を熟考する。

他者の心臓を経絡系が宿っているチャクラ性質ごと取り込むという角都の能力。
いくつもの性質変化を操ることができるからくりは読めたが、何故今、角都はわざわざ心臓の数を教えてくれたのか。

黙っていれば、何回殺せばいいのか此方としては判断できない。
それにもかかわらず、自分を含め五つの心臓を持っていると角都は明言した。

シカマル・チョウジを守る為に、再不斬とカカシが放った【水龍弾の術】で一体。
今し方、カカシの【雷切】で一体。つまり奴は既に二つの心臓を潰されている。

(余裕故の発言か?それとも…ほかに何かあるのか)

残り、三つ。
あと三つの心臓を潰せば此方の勝ちだ。違和感を覚えつつも、シカマルは再不斬の背中に声を掛けた。

「アンタを見込んで頼みがある」

シカマルから手渡されたソレを後ろ手で受取り、再不斬は軽く眼を細める。
同じく、渡されたモノを受け取って、カカシはシカマルの作
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