五十 共同戦線
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…このやろ──ッ、だれが可愛らしいわんこだって!?」
「誰もそんなこと言ってない」
「せめて邪神様の狗かどうか聞けっての!」
「誰もそんなこと聞いてない」
飛段の反論にいちいち律儀に返す角都へ、再不斬は同情めいた視線を向けた。
「てめぇも大変だな…」
「…狗の躾は意外と骨が折れるぞ」
「角都!!俺はお前の相棒にはなったが狗になった覚えはねぇぞ!邪神様ならともかく!!」
「…………大変だな」
「…わかってくれるか」
どこか同じ苦労人めいたものを感じ取って同情しあう両者に、飛段がムキ──と怒る。
そんな若干緩くなった空気は、直後、ガラリと変わった。
「楽しくお喋りしているところ、悪いけどね…」
角都の背後から声がする。
同時に胸を突かれ、角都の眼が大きく見開かれた。
「馬鹿な…貴様は【雷遁・偽暗】を受けるのに精一杯だったはずだ…」
いつの間に、と首を巡らす。肩越しに振り返った角都の胸を【雷切】で抉ったカカシは苦笑する。
再不斬が角都の気を引いてくれたおかげで、【雷遁・偽暗】の雷撃を相殺するのに余裕ができたカカシが秘かに影分身の術の印を結んでいたのだ。
つまり、【雷遁・偽暗】の雷撃を相殺するのを影分身に任せ、本体は角都の背後に回り、隙を窺っていたのである。
不意打ちで申し訳ないが、これほどの強敵だ。卑怯な手だとは思うものの、どちらか一体を先に仕留めねば、戦況は不利。
なんせ相手は、土・風・火・更に雷と四つもの術を操る。これだけ高レベルの術は己の持つチャクラの性質と合致しないと出せないだろう。
能面の化け物を操るのが角都ならば、角都本体を叩けば自ずと化け物も消えるだろうという思考から、カカシは先に角都を狙ったのだ。
特に飛段は不死身故、不死身ではない角都のほうを先に斃しておかねば後々厄介。
戦況が長引けば長引くほど、此方が不利になる。
そういう考えから、角都の隙を突いたカカシを見遣って、飛段が苦々しげに吐き捨てた。
「心臓を一突きかよ…」
倒れ伏せた角都を前に、さほど焦燥感が見えない飛段に、シカマルが違和感を覚える。
相手の心臓を確実に貫いたカカシが、目線を角都から飛段へ変えた。
「次はお前だ」
【雷切】の矛先を飛段に向ける。
そのまま標的を定めたカカシが飛段目掛け、雷切を放とうとした瞬間、彼は再不斬に蹴り飛ばされた。
「ぐ…ッ、再不斬!?敵を取り違えるな!」
まさか爆弾そのものであるチョーカーをつけられているにもかかわらず、此処で裏切る気か。
疑念が脳裏に浮かんだカカシはしかし、直後、再不斬を一瞬でも疑った自分を恥じた。
「てめぇの目こそ節穴か?」
蹴り飛ばされたカカシが立っていた
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