第一章
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悲しい顔が笑顔に
アメリカフィラデルフィア州のある動物の保護センターにライアンという雌猫がいた、毛は黒と銀の縞模様だ。
そのライアンを見てカット=ウィン大学を出てこのセンターに入ったばかりの黒い肌と髪、目で一八〇近い背の彼が先輩のハインツ=オルセンに言った。
「ライアンですが」
「元飼い猫らしいけれどな」
「捨てられて、ですね」
「ここに保護されたけれど」
「飼い主に捨てられて」
そしてとだ、ウィンは言った。
「一匹だけになって彷徨って」
「それで保護されたけれどね」
「今も一匹だけだから」
「ああしてだよ」
「悲しい顔をしているんですね」
「そうだろうね、だからね」
それでとだ、先輩はフィンに話した。
「この子にはね」
「幸せになって欲しいですね」
「悲しい顔でいるよりは」
先輩はこうも言った。
「それよりも」
「笑顔でいて欲しいですよね」
「だからね」
「いい里親と出会って欲しいですね」
「全くだよ」
北欧系の顔立ちの先輩はこう言った、髪と目もそうなっている。背はウィンと同じ位で同じ目線で話をしている。
兎角ライアンはいつも悲しそうな顔をしていた、それに打ちひしがれて希望を忘れたかの様な顔だった。
だがある日のこと。
施設に太った優しそうな顔立ちの中年女性と奇麗なブロンドと黒い目の少女という母娘が来てだった。
ライアンを見た、すると。
「お母さん、この猫」
「何か感じるわね」
「そうよね」
こう言ってだ、ウィンにケージから出してもらって。
二人でライアンを抱き締めた、すると。
「ニャンニャン」
「えっ、あのライアンが」
「いつも悲しい顔をしているのに」
「それなのにとても機嫌よさそうで」
「それで喉を鳴らすなんて」
ウィンも先輩も驚いた、そして。
母娘はすぐに彼女を家族に迎えた、そして現状を確認しに家を訪問したウィンにとても明るい笑顔で話した。
「もう凄く明るい娘で」
「人懐っこくてです」
「いつも私達を笑顔にしてくれます」
「素敵な娘です」
「ほら、ご飯だぞ」
見れば今そのライオンに一家の父、太った短いブロンドと口髭の中年男がにこにことしてご飯をあげている。
ライアンはその彼にまとわりつき動き回っている、ウィンはそれも見て言った。
「施設じゃずっと悲しい顔をしていて動きもしなかったのに」
「そうですか?活発ですよ」
「元気のいい娘ですよ」
母娘はそのウィンにこう返した。
「それでやんちゃで」
「悪戯もしますよ」
「そうですか、じゃあ元はそうした娘なんですね」
ここでライアンの本来の性格がわかった。
「その性格を貴方達に取り戻させてもらえたんですか」
「そうですか、では
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