第一章
[2]次話
ハクトウワシの卵
カルフォルニアの動物保護団体に所属しているラルフ=ハイデッケンは生物学者それも鳥類を専門にしている。黒髪を奇麗にカットしていて青い目は知的な光を放ち穏やかな顔で均整の取れた体格である。
それでアメリカの国鳥でありハクトウワシの保護にも関わっているが。
「つがいになるとですか」
「お互いに先立たれない限りずっと一緒なんだ」
彼はある学生に話した。
「ハクトウワシは」
「そうなんですか」
「オシドリは一年で夫婦が変わるけれど」
「ハクトウワシはですか」
「ずっとなんだ」
お互いが離れるまでというのだ」
「そうなんだよ」
「そんな鳥なんですね」
「猛禽類で怖いけれど」
このことは事実だがというのだ。
「それでもなんだ」
「家族思いですね」
「そうした鳥なんだ」
こう言うのだった、そして。
彼は団体の鳥類保護のスタッフの一人としてそのハクトウワシの保護にもあたっていた。それでブビッグベアレイク市近郊の巣を見ていた。
そこにいる二匹のハクトウワシ達を見てスタッフ達に話した。
「七歳の雄のシャドウと九歳の雌のジャッキーがだよ」
「この巣のつがいですか」
「そのハクトウワシですか」
「それにしても大きな巣ですね」
「ハクトウワシ自身も大きいですが」
「ハクトウワシの巣は大きいよ」
スタッフ達にこう返した。
「三トンの巣もあったしね」
「それはまた大きいですね」
「他の鳥の巣とは違いますね」
「そしてつがいになるとですか」
「ずっと一緒なんですね」
「そうだよ、それでこの巣にライブ映像の装置を付けたから」
それでというのだ。
「後はね」
「こうしてですね」
「いつも観られますね」
「この二羽のことを」
「そう出来ますね」
「そうだよ、君達には不本意かも知れないけれど」
ハイデッケンは鷲達にも言った。
「そうさせてもらうよ」
「クァ」
「クァッ」
鷲達はハイデッケンに応えてかここで鳴いた、それはどうでもいいという風に聞ける様なものだった。
こうして鷲達の生態をチェックしたが。
「中々ですね」
「子供が育たないですね」
「二度出産してますけれど」
「二度共孵化に失敗していますね」
「そちらでは苦労していますね」
「そうだね、中々ね」
ハイデッケンはスタッフ達と共にライブ映像を観つつぼやく様に行った。
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