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ルトはボートを漕ぐ力を強めた。
その間、紗夜はまた顔に影を作り、俯いていたのだった。
「ほう……」
落ち込んでいる少女を眺めながら、その人物はにやりと口を歪めた。
「いい……実にいい……」
キュゥべえを右肩に乗せたピエロ。白と黒に二分された服を着た彼は、ペロペロキャンディを最後まで全てかみ砕きながら笑みを浮かべた。
「あの手は……ククク……」
右手の包帯。彼が見つめるその先の人物、その包帯の正体が傷ではないと確信したピエロは、目を大きく見開く。
「監督役。君は、ジグソーパズルをやったことがあるかい?」
『僕はないよ。君はあるのかい?』
「ああ。あれは地球で一番素晴らしい発明だ」
ピエロは断言した。
「バラバラなピースが合わさると、一つの絵が完成する。まさに、この世界を表す素晴らしい発明だ」
『拡大解釈だね』
「そうかい? でもね。私も……先日攫ったあの少女も、私の計画の一部。パズルのピースなんだよ。そして、今見つけた彼女もね」
『? 完成したパズルの絵は、君にも分かるんじゃないのかい?』
「いいや。新しいパズルのピースを見つけた。どんな絵になるのかは、私にも分からないさ」
ピエロはそう言いながら、パズルのピースに向かって足を向けたのだった。
「どんな絵が完成するか。実に楽しみだ」
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