第七百四十話 こんな事件もあったのです
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第七百四十話 こんな事件もあったのです
これはドイツがイタリアとはじめて出会った第一次世界大戦の時のことです。この時ドイツは潜水艦を使ってイギリスの船をどんどん沈めていました。それでこの日もイギリスの船を見事に撃沈して海に上がってその様子を見守っていました。
船は爆発して火を噴いています。それで海の水やら荷物やら何やらを吹き上げています。その時あるものが吹き上げられたのを見たプロイセンが驚いてドイツに対して叫びます。
「おい相棒あれ見ろ!」
「どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもねえ!あれは何だ!」
「!?あれは!!」
ドイツもそれを見て驚きの声をあげます。何と船の爆発から見たこともないものが上に吹き飛ばされていたのです。それは十メートル以上もある細長いものでした。
四つの小さな足のようなものがあって尻尾や首は鰐にとてもよく似ています。けれどここは欧州の北の方の海です。つまり鰐がいる筈がないのです。
「鰐じゃねえぞ、絶対」
「うむ、それは間違いない」
プロイセンもドイツもそれは確信していました。
「こんなところに鰐は棲めない。寒いからな」
「じゃああれは何なんだよ!」
プロイセンはまた驚いて彼に対して言います。
「鰐じゃなかったら何だ!?あんな生き物見たことねえぞ」
「わからん。あれは一体」
その吹き飛ばされてしまった謎の生き物はやがて海に落ちてそれっきりでした。後は何も見えませんでした。
けれど二人はその謎の生き物を確かに見たのです。いる筈のない生き物、その正体は今になってもわかっていません。ただ二人はその謎の生き物によく似た昔の生き物を知っているのでした。
「これだな」
「ああ、間違いない」
二人が真剣な顔で図鑑に載っているその生き物を見ています。それは紛れもなく大昔の恐竜でした。
第七百四十話 完
2009・5・15
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