第三百六十五話
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第三百六十五話 食べられない
この日赤音は姉の葵から夕食の時あるものを差し出されて嫌な顔になっていた。
「私食べられないわよ」
「美味しいわよ」
「美味しくないわよ」
姉にブルーチーズを見て言い返した。
「そんなの」
「これがお酒に合うのよ」
「私お酒飲まないし」
まだ子供だからだ、姉にしても未成年だが住んでいる町の条例で飲むことが出来る年齢なのである。
「ワインでしょ」
「そうそう、ワインと一緒に飲むとね」
「そのチーズ美味しいのね」
「ブルーチーズはね」
姉はにこりと笑って答えた。
「ワインによく合っていて」
「凄い匂いよ」
その匂いに実際に顔を顰めさせて答えた。
「臭いわ」
「いや、この臭さもね」
姉は妹に笑って返した。
「またね」
「食欲そそるっていうの」
「そうなの、だからね」
「私もっていうの」
「どうかってね」
「普通のチーズでいいわ」
チーズはとだ、赤音は答えた。
「お父さんが買ってきてくれたらしいけれど」
「私だけ食べたらいいの」
「そうしたらいいわ」
全く興味はないという返事だった。
「別にね」
「そうなのね」
「お酒も飲まないし」
「流石に小学生でお酒は駄目ね」
姉もそれはと答えた。
「やっぱり」
「そうしてね」
「それじゃあね。折角お父さんがプレゼントしてくれたのに」
「私はケーキ貰ったからいいわ」
赤音は事実チョコレートケーキを前にしている。
「これ食べるから」
「お姉ちゃんも貰ってるわよ」
「いやどっちにしてもそのチーズはいいから」
兎に角それはというのだ。
「お姉ちゃんだけ食べてね」
「そこまで言うなら」
葵も頷いた、そうしてだった。
赤ワインを出した、そうして自分でコップにお酒を入れてそのうえでブルーチーズも食べはじめるのだった。
第三百六十五話 完
2021・5・6
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