第十一章
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翌春、3月の末に大樹の結婚式が行われた。披露宴は大阪市内のホテルで12時からだったので、前の日に二人で実家の方に帰ってきていた。
途中の駅で待ち合わせしたんだけど、絢はサーモンピンクのフレァーなドレスで、あの時、20才の僕の誕生日にホテルで着ていたものだ。薄い生地の白のボレロを着ているが、首元には、パールのものと蝶のネックレスを重ねてしていた。その恰好には不釣り合いに、大きなバッグも下げていた。
会場に行くと、杉沢健一も着ていた。小学校の同級生でグループの仲間だ。もちろん、絢も同級生だ。
「モトシ 久し振り お前、肩の辺り、逞しくなったな 水泳やってるって、聞いていたけど・・ 本町かぁ 信じられないなぁ こんなになったの」健ちゃんから声を掛けてきた。
「健ちゃんも背が伸びたなぁ 勉強ばっかりでも、背は伸びるんだな」
「バカ言うなよ 筋肉無いぶん、上に伸びるんだよ」
全部で30人ぐらいの小さな披露宴だった。席に着くと、僕達のテーブルには、僕等3人と、大樹の高校の友達男2人、くるみチヤンの高校の友達女2人の新郎新婦の友達関係の席だった。女の子2人は、化粧も濃いが、絢の方が、今日は薄目の化粧なんだろうが、清楚な美しさがある。僕は、誇らしかった。
「大樹から、お前等付き合っているの聞いていたけど、小学校から、ずーとなのか?」
「あぁ いろいろあったけどな 今はな 健ちゃん、彼女は?」
「いないよ もてないからな 機会もないし」
「そうか 背も高いのにな 就職どうした」
「うん 内定貰っているとこ、あるけど すんなり、行くと良いけどな」
「早いな 僕は、これからだ 県の施設に行こうと思っているから」
「本町も一緒に行くのか」
「うん 付いていく」と、今まで、黙っていた絢が、ほほ笑みながら答えた。
「本町は、すごいよな 小学校の時、最後に成績抜かれた時、ショックだったよ 正直言って 暗いし、どんくさい奴って思ってたもんな」
「今でも どんくさいよ」と、絢は受け流していた。
会社の人とか、それぞれの高校の時の友人が代表でスピーチをしていたが、僕には、ありきたりのつまらないものに聞こえていた。仲人さんは、居ないのだ。最後には、ごく普通に花嫁の両親への謝辞があって、それでも、絢は涙ぐんでいた。でも、くるみちゃんも、愛嬌のある感じのかわいらしい花嫁姿だった。出口で、大樹に二次会があるからと誘われたが、会社の人が多いので、僕達は出席を断ってきた。
健ちゃんとは、お茶を飲んで、別れた。僕達は、その日、絢の希望で、神戸で泊る予定にしていた。
「くるみちやん 綺麗だったね 幸せそうだったわ でもね ウチ モトシと一緒になれたら、それだけで幸せだから あんなの、え
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