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幻想甲虫録
広まった噂
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巨大な屋敷、地霊殿。その当主でありこいしの姉であるさとりが急に箸を止めたウォズに声をかけた。霊夢とソウゴが新聞を読んでいた頃、さとりたちは朝食の最中だった。


ウォズ「失礼、どこからか我が魔王の殺意が飛んできた気がしてね。ところで君たちは新聞を読んだのかい?我が魔王の件なんだが―――――」

八咫烏「うにゅ?『ちり紙を食ったのかい』?」

赤紫のタランドゥス「え!?ちり紙食べたのお空!?」

火車「いや、何でそうなるの?」

さとり「そこじゃないわよお燐」


どこをどう聞き間違えたらそうなると言わんばかりの八咫烏と彼女の相棒であろう、それに乗ってしまう赤紫のタランドゥスツヤクワガタ。お気に入りだろうか、彼の右の大顎には赤いスカーフが巻かれている。
名は八咫烏の方は『霊烏路空』。タランドゥスツヤクワガタの方は『ライジングキャッスル』、コードネームは『赤羽』。灼熱地獄跡の温度調節の仕事をしているペットと甲虫だった。


ベレー帽のクロゴホンヅノ「素で言うからな、お空は。ハハハ」


お燐と呼ばれた猫耳と三つ編みの火車の相棒であり、ベレー帽を被った青白いクロゴホンヅノカブトがいつものことさといった表情をし、笑いながらジュースを飲む。
名を『キュアノスリュコス』、コードネームは『青羽』。お燐と呼ばれるゴスロリ風のペットこと火車『火焔猫燐』と共に旧地獄で死体運びの仕事をしている。だが本人曰く、慣れないとのこと。いつも運び終えるたびに燐に見えない場所で吐いているんだとか………。


ニット帽のファブリースノコギリ「それでウォズ、何の話?」


そしてさとりの相棒であるファブリースノコギリクワガタがウォズに問う。黄色いニット帽を被り、緑と黄色の美しいグラデーション。その名は『キトゥリノセイレーン』、『黄羽』というコードネームを持っていた。


ウォズ「我が魔王の件だよ。確かに私は勝利の儀をした……幻想郷中の皆に伝わるのはいいのだが、私はそこまでの影響力はあっただろうか?」

こいし「うーん、でもこの新聞書いてる人って『射命丸文』なんだよね」

さとり「……またあの烏天狗か」

ウォズ「………ちょっと急用を思い出した」


箸を置いたウォズは飛び上がると、こいしの肩の上に乗る。


ウォズ「こいし、その射命丸の家に案内してくれ」

こいし「はーい」

セイレーン「ちょちょちょちょちょ!?ウォズ、何しに行くの!?」

ウォズ「何って、今から射命丸の家に行って、彼女とじっくりO☆HA☆NA☆SHIしてくるだけだよ。もちろん二度と新聞を作れない程度で説教するつもりさ」



ヤリスギィ!



さとり「それ天狗たちにカチ込みしに行くって言ってるようなものよね!?
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